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ICLの手術に興味があるけれど、手術中や術後、痛いのでは?と心配している人は多いのではないでしょうか。そのほかにも、「ICLはやめた方がいい」「ICLの手術に失敗しました」などというブログやSNSを見て、「手術しない方がいいのかな?」と思っている人もいるでしょう。たしかに、ICLは手術なのでリスクがまったくないわけではありません。ただし注意点をしっかり守れば、安心・安全な視力矯正法なのです。今回は、ICLの手術後に起こる可能性のあるデメリットおよび対処法をご紹介します。
■ICLとはどんな手術?
まず、ICLとはいったいどんな視力矯正法なのか?手術はどのように行われるのかについて詳しく解説します。
・ICL(眼内レンズ)の概要
ICLは、眼の中にソフトコンタクトレンズのような小さくて柔らかいレンズを挿入して、近視や遠視、乱視を矯正する手術です。
レーシックとは違って角膜を削らないため、術後すぐ視力回復が望めます。また、一度眼の中に入れたレンズは、日常のケアや定期交換の必要はないので、長期にわたって良好な視力を維持することが期待できます。
ICLは、その有効性・安全性の高さから、厚生労働省の認可を受けている視力矯正方法なのです。
・ICLの手術方法
ICLの手術は両眼約20分で終了します。入院する必要がないので、日帰り手術が可能です。
手術の前に、「散瞳剤」という目薬で瞳孔を拡大させます。瞳孔が開いたら、点眼麻酔で眼に麻酔をします。麻酔が効いてきたら、角膜の黒目と白目の縁の部分を数mmほど切開し、そこに折りたたんだ状態でレンズを挿入するのです。
その後、挿入したレンズを水晶体と虹彩の間へと固定し、瞳孔を縮小する目薬を入れ、院内で休息を取ります。しばらく休息を取った後、診察で異常が見られなければ手術は終了です。
■ICLのメリットは?

角膜を削らずに視力を矯正するICLにはさまざまなメリットがあります。主なものを紹介しましょう。
・裸眼でもよく見えるようになる
メガネやコンタクトのわずらわしさから解放されるのは、ICL最大のメリットと言えるのではないでしょうか。コンタクトレンズのように、毎日のケアは必要ありません。また、定期的に交換する必要もないので、ランニングコストがかからないというメリットもあります。
さらに、メガネのように激しい運動をしてもずれたり落ちたりする心配がなく、マスクをしていてレンズが曇る…ということもありません。何より、朝起きた瞬間からよく見える、というのは快適で便利です。
・いつでも元の状態に戻せる
ICLは角膜を削らずに、眼の中にレンズを入れることで視力を回復させます。そのため、レンズを取り出せばいつでも手術前の状態に戻すことができるのもメリットのひとつです。
例えば、手術を受けた後に白内障になった場合、レンズを摘出すれば白内障手術が可能です。また、手術後に近視や乱視が進んでしまったとしても、適切な度数のレンズに交換すれば、再び良好な視力を得ることができるでしょう。
・手術の適応範囲が広い
レーシックの場合、角膜を削って視力を矯正するので、強度近視・乱視の人や角膜が薄い人は適応できません。その点、ICLは適応範囲が広いので、そういった人でも手術を受けられます。
見え方の質が良い
ICLは角膜を削らないので、角膜のわずかな歪みさえ発生することがありません。そのため、コントラストが良く、クリアな視界を確保することができるでしょう。また、眼鏡をかけている時のように視界が狭くなることもありません。
・術後のリスクが少ない
ICLは、レーシックと比べて術後のリスクが少ないというメリットもあります。手術の際に角膜を数mmほどしか切開しないので、角膜の知覚神経を傷つけることがなく、術後の違和感やドライアイを発症することが少ないとされているのです。
また、強度近視の人がレーシックを受けた場合には、数年後に近視がリバウンドしてしまう場合がありますが、これを「近視の戻り」と言います。もし、レーシックを受けて近視の戻りが起きてしまった場合に充分な角膜の厚さがなければ、再びレーザー手術を行うことができません。したがって、眼鏡かコンタクトレンズで矯正しなければならなくなるのです。
その点、ICLは近視の戻りを起こす確率が少ないので、「またコンタクトや眼鏡に逆戻り」という心配もほとんどないでしょう。
■ICLで起こりうるリスクとは?

前述したとおりICLは、リスクが起こる可能性は低いですが、まったく起こらないというわけではありません。あくまでも手術なので、やはりそれなりのデメリットはあると思っておいた方が良いでしょう。
ここからは、ICLの手術で考えられるリスクとその対処法をご紹介します。
・術後痛みは少ないが異物感がある
ICLの手術は点眼麻酔をしたうえで行うので、手術中や術後に痛みを感じることはありません。ただし、術後1週間くらいは、異物感を覚えることがあります。とはいえ、初めてコンタクトレンズを装用した時のような強い異物感ではないので安心してください。また、時間の経過とともに症状も解消されます。
また、充血やかすみが起こる場合もありますが、これは傷口が自然治癒すると同時に自然に改善していきます。
・光がまぶしい・ギラつく
術後しばらく視力が安定するまでの間は、日によって見え方が変動することがあります。そのため、夜になると光がぎらついて見えたりにじんで見えたりする「ハロー・グレア現象」が起こることも。ICLのハロー・グレア現象の発生率は、レーシックに比べると低いのですが、まったく発症しないわけではありません。
この症状は時間とともに気にならなくなりますが、なかなか解消されない、どうしても気になるという方は、手術を受けた病院に相談しましょう。
・レンズが合わないことがある
レンズの大きさや度数が合わないという場合が、まれに起こることもあります。大きさが合わない場合は、再手術を行って適切な大きさのレンズへと交換します。
見え方があまり良くないというケースは、まだ新しい見え方に慣れていないという可能性も否定できません。そのため、視力が安定するまでしばらく様子を見てから同数を交換するかどうか決めていきます。
いずれにせよ、きちんと検診を受ければ放置したままにはならないので、安心してください。
・感染症や一般的な術後合併症が起こることも
術後には、感染症や一般的な術後合併症が起こるリスクもゼロではありません。
例えば、手術後の傷口から細菌が侵入した場合、感染症を起こすことがあります。(1/6000程度)特に、術後2週間は、傷口が完全にふさがっていないため注意が必要です。
汚れた手で眼を触ったりこすったりしないようにしましょう。また、無意識に眼を触ったり、眼の中に異物が入ったりするのを防ぐために、術後しばらくは保護メガネをつけるようにしてください。医師の指示に従って、感染予防の目薬を忘れずに点眼することも大切です。
このほか、術後1カ月間は、農作業やプール、温泉など、眼の中に水や異物が入りそうな場所へ行くことも避けましょう。
また、考えられる術後の合併症として、虹彩炎や緑内障・白内障などがあります。起こる確率はまれですが、違和感を覚えたらすぐに医師の診察を受けてください。
■ICLは痛みの少ない安心・安全な手術
ICLは手術中や術後の痛みが少ない視力矯正方法です。術後のリスクはゼロではありませんが、それぞれの対処法・治療法もあるので、医師の指示や注意点をしっかり守れば、まず問題はありません。どうしても不安が残る…という方は、手術前のカウンセリングで、医師に相談してみると良いでしょう。