ICLを「おすすめしない」といわれるのはなぜ?後悔しないための対策とは

目の中に直接レンズを入れることで、近視や乱視の視力矯正を行う「ICL」。「コンタクトレンズやメガネから解放される」と、近年ICLに注目する方が徐々に増えています。一方、インターネット上でICLについて検索していると、「おすすめしない」という意見を見かけたことがある方も多いのでは?そこでこの記事では、なぜICLは「おすすめしない」といわれやすいのか、また治療後に後悔しないために知っておきたいことをお伝えしていきます。

■なぜICLは「おすすめしない」といわれることがあるのか?

ICLとは、目の中に直接レンズを入れ、近視や乱視などの視力矯正を行う治療法です。厚生労働省に認められた安全性の高い治療で、レーシックのように角膜を削る必要はありません。日本国内でも、年々ICL手術を行う方は増えており、注目を集めている視力矯正治療の1つです。

徐々に一般的になりつつあるICLですが、インターネット上では「おすすめしない」「後悔している」といった内容のSNS投稿やブログを見かけることがあります。こうした声があがりやすい原因には、次のようなことが考えられるでしょう。

・手術後の感染症や合併症のリスクがゼロではない

・手術前の検査などが不十分であった

・執刀する医師の技量の差

・十分な手術環境が整備されていない など

体への負担が少ないといわれるICL手術ですが、外科的手術である以上、そのほかの外科的手術同様、感染症や合併症のリスクは僅かですがあります。こうした点から、ICLをおすすめしないという声があがっている可能性は考えられます。また、ICL手術を行っているクリニックであっても、手術や院内環境がすべて同じとは限りません。そのため、ICL治療そのものというよりも、どの病院で受けたのかで意見が変わることは十分に考えられるでしょう。

■ICLが向かない人もいる?

レーシックよりも適応する方が多いICLですが、次の方はこの治療法があまり適していないといわれています。

・白内障や緑内障などの目の病気がある方

・角膜内皮細胞数が極端に少ない方

・目の中のスペースが狭い方

3つ目で提示しているように、ICL手術を行うならば、目の中にレンズが入るだけのスペースが必要です。このスペースが狭いと、ICL手術が行えないこともあります。これらの測定は、当院でも導入している、「前眼部OCT(CASIA-2)」で行えます。ICL手術を検討する際は、設備面も確認しておくと安心です。

■レーシックとICLはどっちがいい?

視力矯正を望む方の中には「レーシックとICLはどっちがいい?」と迷い、治療方法を決めかねていることも少なくありません。この2つはどちらも、近視や乱視の方の視力回復が期待できる施術です。いずれも保険適用外で、治療にかかる費用は全額を自己負担する共通点があります。

しかし、大きな違いも2つあります。

まず1つ目は、角膜を削るか削らないか。レーシックは角膜を削ることで、ICLは角膜を削らずにレンズを入れることで、視力矯正を図ります。

また2つ目の違いとして、元の状態に戻せるかどうかもポイントです。レーシックは角膜を削るため、手術を1度でも行うと元の状態には戻せません。一方ICLは、目の中に違和感があった場合や白内障などの病気にかかった時には、手術後でもレンズを取り出せ、ほぼ元の状態へと戻すことができます。この「手術後であっても元に戻せる」という点に、安心感を抱く方もいるはず。

一方で、レーシックよりもICLのほうが手術費用は高いことがほとんどです。さらに、レーシックのほうが早い時期に国内で普及したため、全国的に手術を行える医療機関が多いのはレーシックとなります。レーシックとICLどちらをするべきか迷ったときには、こうした具体的な治療法や費用などを見比べて検討してくださいね。

■ICL手術のメリット

ICL手術のメリットにはまず、「日々のお手入れの必要がなくなること」が挙げられます。コンタクトやメガネをつけていると欠かせない毎日のお手入れですが、ICLならば必要ありません。さらに、レーシックだと治療対象から外れてしまう「強度近視の方」や「角膜が薄い方」なども、ICLならば治療可能です。レーシック手術後に懸念されている、経年での視力低下である「近視の戻り」のリスクも、ICLならばほとんどありません。

また、何よりも「レンズを取り出したい」と希望すれば、ほぼ元の状態に戻せることは安心できるポイントです。手術の切開創もわずか3mm程度で済むため、体への負担も少なく、日帰りで治療が終わります。角膜を削らないため、ドライアイになる心配もありません。

■ICL手術のデメリット

ICL手術のデメリットには、経済的な負担が挙げられます。費用相場は45万円~100万円程度。乱視がある方は追加費用がかかる可能性もあります。レーシックの費用相場は25万円~40万円のため、2つを比較するとより負担が大きい印象を受けやすいでしょう。ただし、生命保険によってはICL手術に給付金が支給されたり、医療費控除を受けられたりと負担を減らす方法はいくつかあります。

また、ICLのレンズは、一人ひとりの目に合ったものを選んでいきます。そのため、国内にレンズの在庫がない場合は取り寄せる必要があり、手術を受けるまでに時間がかかることも。レンズ到着までに1カ月から3カ月程度かかる可能性もあるため、余裕をもって治療スケジュールを組むことが大切です。なお、近くが見えない「遠視」のレンズもありますが、国内ではまだ認可されていません。

■ICLは何年持つ?

レンズは「コラマー」という、ソフトコンタクトレンズのような、やわらかい素材で作られています。折りたためるほどしなやかなため、目の中で割れる心配もありません。経年変化することもないため、不具合がなければ半永久的に使えます。有害な紫外線もカットしてくれる素材のため、長年にわたり目の保護にも役立ってくれるのです。

このように、ICLは目に不具合がなければ、無理に取り出す必要はありません。一方で、もし「もともとの視力が落ちてきた」「白内障や緑内障になった」という場合には、取り外してレンズを変えたり治療を受けたりすることが可能です。

また、長期間良好な視界を保つためには、ICL手術を行った後も定期的な検診に通うことが大切です。当院でもICL手術を希望された方には、手術後の定期検診をお願いしています。目は知らず知らずのうちに、酷使している可能性が高いパーツのため、アフターケアも重要です。そのため、ICL手術を受ける医療機関を選ぶ際は、日々のケアや定期検診にも力を入れているところがおすすめです。東京でもICL手術を行うクリニックは多いですが、手術後の通院も考慮しながら、通いやすい医療機関を選びましょう。

■ICL手術を受けるなら病院選びも大切!アフターケアまで視野に入れて

目の中に直接レンズを入れることで、コンタクトやメガネをせずに視力矯正が行えるようになるICL手術。裸眼での視力をよくしたい方などに選ばれている治療法ですが、外科的治療であるため、感染症や合併症のリスクは0ではありません。こうした点などから「おすすめしない」といわれることもあります。しかし、適切な医療機関選びができればリスクを軽減することも可能。ICL手術を希望されている方は、費用だけでなく、最新機材を導入しているかなど、複数の視点で判断し、後悔のないようにしましょう。

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