ICLは18歳から手術OK?成人年齢引き下げで年齢制限はどうなる?

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2022年4月1日より、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。このことによって、18歳から、さまざまな契約が親の同意なしで締結できるようになります。「ICLの手術も、親の同意や同伴なしで受けられるようになる!」と心待ちにしている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、ICLの年齢制限について解説するとともに、何歳から親の承諾なしで手術を受けられるのか、その他注意点も解説していきます。

■ICLとはどんな視力矯正法?

ICLは、目の中にソフトコンタクトレンズのような柔らかくて小さいレンズを挿入し、近視や遠視、乱視を矯正する手術です。
ICLの大きな特徴は、角膜を削らずに視力を矯正すること。レーシックとは違って角膜を削る必要がないため、術後わりとすぐに良好な視力を得られます。見え方のコントラストも良く、視界が鮮明になりますよ。

また、術後に目の病気になったり、元の見え方に戻したくなったりした際は、レンズを取り外すことでいつでも手術前の状態に戻すことができます。ICLは、その安全性と有効性の高さから、厚生労働省の認可を受けている視力回復方法。ICLの手術は、両眼20~30分程度で終了するので、入院の必要がなく、日帰り手術が可能です。

ここで、手術の手順を簡単に紹介しましょう。手術を始める前に、目薬で瞳孔を拡大させます。瞳孔が拡大したのを確認できたら、目に点眼麻酔を行い、麻酔が効いてきたらいよいよ手術スタートです。まず、角膜の黒目と白目の縁の部分を、3mm程度切開します。この創口がレンズの入り口になるのです。

続いて創口から折りたたんだレンズを挿入し、レンズを水晶体と虹彩の間へと固定します。レンズがしっかり固定出できれば瞳孔を縮小する目薬を入れ、手術は終了です。

手術が終わっても、すぐに帰宅できるわけではありません。術後しばらくは、院内で休憩します。時間がたってから目の状態を検査し、異常が見られなければ帰宅可能となります。

■ICLのメリット・デメリットが知りたい!

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続いて、ICLのメリット・デメリットについて解説していきましょう。

・ICLのメリット

ICLのメリットは主に以下のようなものです。

裸眼でもよく見えるようになる

メガネやコンタクトを使わなくても、裸眼でいつでもよく見える状態を維持できることが、ICL最大のメリットでしょう。激しい運動をしても、眼鏡のようにずれたり落ちたりすることがありません。また、コンタクトレンズのように、毎日面倒なお手入れをする必要ないのです。何より、朝起きた瞬間からよく見えるので、生活の質がグンと上がるのが実感できるでしょう。

いつでも手術前の状態に戻せる

前述した通り、ICLは眼の中にレンズを入れて視力を矯正する手術です。そのため、何かあったときは、レンズを取り出せばいつでも手術前の状態に戻せます。
例えば手術を受けた後に、白内障など手術が必要な眼の病気にかかってしまったとしても、レンズを取り出すことで、疾患の手術が可能です。術後に近視や乱視が進んでしまった場合には、レンズ度数を調整すれば、再び快適な視力を維持できます。

鮮明な見え方を維持できる

ICLは角膜を削らないので、角膜のわずかな歪みが発生しません。そのため、視界が鮮明でクリアになります。また、レンズを定期的に交換する必要もないので、安定して良好な見え方を継続させることができるでしょう。

術後リスクが少ない

ICLは厚生労働省が認可した、安全性の高い手術です。そのため、術後のリスクが少ない安心・安全な手術といえるでしょう。手術の際は、角膜をわずか3mm程度しか切開しません。角膜の知覚神経を傷つけることもなく、術後の違和感やドライアイを発症することが少ない傾向にあります。
角膜の歪みも発生しないので、夜に見る光がギラギラしたり二重に見えたりする「ハロー・グレア現象」が起こる確率もレーシックに比べると少ないのが特徴です。

適応範囲が広い

レーシックが不適応の強度近視・乱視の人も、ICLなら矯正可能です。また、角膜が薄い人でも手術を受けることも可能。
強度近視の人がレーシック手術を受けると、手術後に近視がリバウンドする、「近視の戻り」が一定の割合で起こります。しかしICLの場合は、近視の戻りが起こる可能性が低いので、長期に渡って良好な視力を維持することができるでしょう。

・ICLのデメリット

ICLのデメリットについても知っておきましょう。

自己負担額が大きい

ICLは公的保険適用の対象外の自由診療です。そのため費用は全額自己負担となり、負担額が大きくなってしまうというデメリットがあります。ICLの費用の相場は、およそ45~70万円程度と、なかなかの高額です。ただし、加入している生命保険によっては、手術の給付金が下りることも。事前に保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。
確定申告をすれば、医療費控除が受けられて、還付金が支払われる可能性もあります。ICLを受けた場合は、領収書を必ず保管しておき、確定申告を行うようにしましょう。

手術を受けるまでに時間がかかる

ICLのレンズは、一人ひとりオーダーメイドです。国内にレンズの在庫がない場合、発注しなければならないので、レンズが到着するまでに1カ月から3カ月程度かかることもあります。ICLの手術を受ける際は、余裕を持ったスケジュールを組んでおくようにしましょう。

■ICLには年齢制限がある?その理由は?

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ICLは、年齢制限が定められています。何歳からOKなのか、見ていきましょう。

・ICLの年齢制限

ICLの手術は、18歳以上から適応可能です。18歳以下の若い年齢はまだまだ成長段階にあるので、近視も進行してしまう恐れがあります。そのため、せっかく手術を受けたとしても近視が進行し、レンズの適応度数が変わってしまう可能性があるのです。また、子供の視力は環境やメンタルに影響を受けやすいので、適切な度数のレンズを挿入しても満足できる見え方にならないことも起こりうるのです。
以上の理由から、18歳以下にICLは適応不可、と定められています。

一方、ICLは年齢の上限は定められていません。しかし、40代後半~50代になると、老眼や白内障のリスクが高まります。
ICLでは、老眼を矯正することはできません。そのため、「遠くがよく見えるようになった代わりに、近くが見にくい」ということが起きてしまう可能性も。ICLを受けることで遠くも近くもはっきり見えるようになる、と思っていると、満足度が低くなってしまい、「ICLはやめた方がいいかも」「ICLを受けたけど失敗しました…」などと考えてしまう場合もあるのではないでしょうか。
ある程度の年齢になってからICLを受ける場合は、見え方の満足度にも限界があることをしっかりと意識しておく必要があるでしょう。

・18歳は親の承諾なしにICLが受けられる?

法的成人年齢の引き下げにより、民法上では、18歳・19歳の場合は親の承諾がなくてもICLを受けることが可能です。
しかし、ICLの費用は全額自己負担なので非常に高額です。感染症や術後の合併症も、起こるリスクは低いとはいえ、全く起こらないわけではありません。医療機関によっては、18歳以上であっても親の承諾を必要とするところがあります。
また、術後は注意点や日常生活の制限もたくさん。家族の協力は不可欠なので、いくら成人したといえども、家族に相談をしておく方が安心できるでしょう。

■ICLの手術は家族に相談しておくと安心!

眼の中に小さなレンズを入れて遠視や近視、乱視を矯正するICLは、厚生労働省が認めた安心、安全な視力回復手術です。とはいえ、術後のリスクがまったくゼロ、というわけではありません。もしもの時に慌ててしまわないように、成人していても事前に家族に報告・相談し、術後の生活がスムーズに送れるよう協力してもらうと安心できますよ。

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