ARTICLE 記事
ICLは強度近視でも受けられる?メリットや費用をレーシックと比較

レンズを目に挿入することで、視力矯正ができるICL。角膜を削らずに近視・乱視・遠視の矯正ができるなど、さまざまな特徴があります。ここでは、ICL手術を受けるメリットやデメリットを、レーシックと比較しながらご紹介。また、強度近視でも受けられるのか、費用はどれくらいなのか、日常生活の制限があるのかなどについてもくわしくまとめました。ICLを検討されている方は、ぜひご一読ください。
■ICLとはどんな治療法?

まずはICLの基本について解説していきます。
・ICLとは
ICL(眼内コンタクトレンズ)治療とは、目のなかにレンズを入れて視力矯正をする治療法です。ICLが厚生労働省の認可を受けたのは2010年。2014年には、ホールICLも認可されました。ホールICLとは、中央に穴があいており術後合併症のリスクが低い眼内コンタクトレンズです。レンズが改良されたことで安全性が高くなっており、ICLは若い世代を中心に人気の治療法となっています。
・レーシックとの違い
レーシックとICLは、どちらも視力矯正手術です。そのため、両者は「どっちがいいのか」とよく比較されます。ふたつの違いを見ていきましょう。
レーシックは、レーザーで角膜を削って形を調整することで、視力を矯正する手術です。レーザーでフラップ(一定の厚みのある角膜のフタ)をつくり、角膜を削ったあとに元に戻します。デメリットは、角膜を削る必要があること。目のトラブルが起きた際は、元に戻すことができません。
一方でICLは、角膜を3mm程度切開し、切開創からレンズを挿入する治療法です。切開創は小さいため、自然にふさがっていきます。ICLは、角膜の形を変えずにできる手術で、いざというときはレンズの取り出しが可能です。
■ICLにはどんなメリットがある?

ここからは、ICLのメリットをご紹介していきます。
・痛みが少なく日帰り手術が可能
ICLは、目薬で局所麻酔をしてから手術を行います。そのため、痛みはほとんどありません。クリニックによっては、笑気ガス麻酔を併用することもあります。ICLの手術にかかる時間は、両目で20~30分程度。高い技術が必要ではありますが、日帰りでの手術が可能です。
・強度近視・乱視・遠視にも対応
レーシックでは矯正が難しい、強度の近視や乱視・遠視などに対応していることも、ICLの強みです。レーシックで強度近視を矯正する場合は、多くの角膜を削らなければなりません。日本眼科学会のガイドラインにおける、レーシックが可能な視力の度数は-10.00D(ディオプトリー:度数の単位)まで。-10.00D以下であっても、-6.00D以上の強度近視に対するレーシックは、慎重な検討が必要です。また、乱視・遠視については、6.00Dまでという制限があります。
それに対してICLは、前述のように角膜を削る必要がないため、強度の近視などがあっても手術が可能です。また、元の角膜の厚さに左右されないことから、レーシックと比べて手術の適応範囲も広くなります。ただし、目の状態によっては適応とならない場合もありますので、クリニックで相談してみましょう。
・角膜を削らないため治療前の状態に戻せる
先ほどもご説明した通り、レーシックはレンズを取り除けば元の状態に戻せる手術です。これは、術後の合併症が起きたときだけでなく、将来目の病気を患ったときにもあてはまります。目の病気になったときに、治療の選択肢が狭くなるリスクが少ないといえるでしょう。
・術後のリスクが少ない
レーシックと比べて術後合併症が少ないことも、ICLのメリットです。レーシックは、フラップをつくるときに角膜の知覚神経を切断するため、ドライアイになりやすいという特徴があります。一方、フラップをつくらないICLは、ドライアイになりにくいのです。レンズの改良により、ハロー・グレア現象(夜間光がにじんでぼやける現象)のリスクも、ゼロではありませんが軽減されています。
・眼鏡やコンタクトなどの手入れが不要
ICLは、手入れの手間が省けることも特徴といえます。眼鏡の場合は眼鏡拭きや洗浄、コンタクトレンズの場合も1day以外であれば洗浄が必要です。それに対してICLは、眼鏡やコンタクトのように着脱するものではありません。手術後は、手入れのわずらわしさから解放されたと感じる方が多いでしょう。
・近視の戻りが起こりにくい
レーシックのデメリットとしてあげられるのが、近視のリバウンドです。手術前に視力低下が進んでいる場合や、角膜を広範囲に削った場合では特に、術後数年で視力が元に戻ってしまうことがあります。
一方、ICLは元の視力に関わらず、近視の戻りが少ないのが特徴です。術後何年たったとしても、手術直後と同じ見え方を維持できます。
・目に有害な紫外線をカットできる
紫外線のダメージを受け続けると、目に病気を引き起こす可能性があります。しかしICLには、紫外線をカットする紫外線吸収剤が含まれているため、裸眼で生活しながら目を守ることが可能です。
■ICLにはどんなデメリットがある?

続いて、ICLの3つのデメリットを見ていきましょう。
・レーシックと比べて手術費用が高い
ICLとレーシックは、ともに公的保険が適応されません。そのため、手術費用は全額自己負担です。レーシックの費用相場は、両目で25万~40万円程度。ICLは、45万~100万円程度が相場となっています。さらに、乱視がある場合は追加費用がかかるケースも。高額となることが多いため、経済的な負担も考慮しなければなりません。ただし、保険会社によっては手術給付金の対象となる場合もあるので、確認してみることをおすすめします。
・レンズの準備に時間がかかる
ICLでは、目に合うサイズや度数のレンズの準備が必要です。そのため、精密な術前検査を行ってからレンズをオーダーメイドします。メーカーに注文してから到着するまでの時間は、一般的に1ヵ月~1ヵ月半程度。検査の時間などを含めると、手術が終わるまで3~4ヵ月かかることも少なくありません。
・まれではあるが合併症が起こる場合も
頻度は高くないですが、ICLは手術である以上、合併症が起こる可能性も否定できません。術後、切開創がふさがらないうちに水が入ったり、目をこすったりすると感染症を引き起こす可能性があります。
また、従来のICLは、目のなかを循環する房水の流れを十分に確保できない仕様だったため、わずかでも白内障や緑内障などのリスクがありました。房水とは、角膜や水晶体などに栄養を与えたり眼圧を左右したりする液体のことで、流れが滞ると、そういった合併症のリスクが高まるのです。しかし、現在広く用いられているホールICLは房水の流れが確保できるため、合併症のリスクも低くなってきています。
■ICLを受ける際はどんな注意が必要?
年齢や日常生活の制限など、3つの注意点をご紹介します。
・年齢制限がある
18歳未満の若い方は、ICLを受けることができません。年齢制限の理由は、体の成長に伴い目も大きくなっていくためです。目の奥行きが伸びることにより、近視は進みます。つまり、発達段階にある子どもの目は、視力が安定していません。近視の進行や度数の変動などの可能性を考慮して、ICLの適応年齢はガイドラインで18歳以上となっています。
「渋谷眼科クリニック」は、万全を期すために20歳以下の方に対するICLは行っていません。このように、ICL手術が可能な年齢はクリニックによっても異なるため、事前に確認しておきましょう。
・手術後しばらくは日常生活の制限がある
手術後に日常生活の制限があることも、知っておきたいポイント。ICL術後は1ヵ月程度、保護メガネの着用が必要です。そのほかの日常生活についてはクリニックにより異なりますが、洗髪・洗顔・メイクは4日間、アイメイクやまつげエクステは1ヵ月間やめておきましょう。運動は1週間後から可能ですが、水泳やマリンスポーツができる時期は1ヵ月後からです。
仕事をされている方は、運転やデスクワークができるタイミングも気になるでしょう。ICL手術当日は車の運転ができません。再開の時期については、手術翌日に診察で医師と相談しましょう。デスクワークは、術後2日目から可能です。このように、ICLを受ける際は仕事の調整なども必要となります。
・手術後は定期的な受診が必要
ICLの手術後は、定期的な受診が重要となります。
「渋谷眼科クリニック」の場合は、手術翌日と翌々日の受診が必要です。翌々日の健診は、前日の結果がよければスキップする場合もあります。その後の受診のタイミングは、手術の1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後です。トラブルがないか、視力が安定しているかなどを確認しますので、必ず受診しましょう。
■ICLは強度近視でも受けられる治療法
ICLは、レーシックと比べて適応範囲が広く、角膜が薄い場合や近視・乱視・遠視が強度の場合にも対応しています。メリットの多いICLですが、術後は日常生活上の制限があるため、後悔することがないように、事前に仕事などを調整しておきましょう。
「渋谷眼科クリニック」は、一般眼科診療のほか、ICL手術などを行うクリニックです。眼鏡やコンタクトレンズから卒業したい方、ICLを検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。