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ICLは安いクリニックでも満足できる?レーシックとの違いは?

眼の中に小さなレンズを入れて遠視や近視、乱視を矯正するICLは、厚生労働省が認めた、安全性と有効性の高い視力回復法です。皆さんの中には、「ICLに興味があるけれど、安いのかどうか、費用が気になる」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ICLの費用について解説するとともに、レーシックとの価格の違いについて言及していきます。
■ICLの費用はどれくらい?
まずは、ICLの手術方法及び、費用の相場について解説していきます。
・ICLとはどんな手術か
ICLの手術は、点眼麻酔を使用して行われます。片眼10分ほどで終了するので、入院の必要がなく、日帰り手術が可能です。
手術の流れですが、まず散瞳剤で瞳孔を開いた後、麻酔の目薬を点眼します。麻酔が効いてきたら、白目と黒目の境目部分に数ミリ程度の小さな創口を作成。創口から小さく折りたたんだ眼内レンズを挿入し、虹彩と水晶体の間に固定します。レンズをしっかりと固定したら手術終了です。
切開した創口は、「眼圧」と呼ばれる眼の内側から外側にかかる圧力によって自然に閉鎖します。
一度眼の中に入れたレンズは、基本的にお手入れや定期的な交換の必要がなく、長期的に良好な視力を維持可能です。ICLの手術後に見え方に不満が出たり、目の病気になったりした場合は、レンズを取り出すことによって、いつでも手術前の状態に戻すことができます。
・ICLの費用の相場は?
ICLは公的医療保険の対象外なので、自由診療となります。よって、料金は医療機関が自由に設定できるため、価格にばらつきがあるのです。
一般的に、ICLの費用の相場は「両眼で45万円~70万円程度」と言われています。費用の内訳は、手術費用・レンズ代金・術前と術後の検査・診察・薬の処方が含まれていることが多いでしょう。近視や遠視、乱視の度数が強すぎる場合はレンズが特注になるので、費用が高くなってしまう場合があります。
■ICLの費用はなぜ医療機関によって違う?

ここまで読んで、「なぜICLの手術代は医療機関によって大きく差があるのだろう」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。ここからはその理由について詳しく解説していきましょう。
・ICLは自由診療の扱いになる
前述した通り、ICLは公的医療保険の対象外なので、自由診療となっています。自由診療は、治療にかかる費用は全額自己負担、つまり患者が10割負担となるのです。自由診療に該当するのは、国内では未承認の治療や医薬品を使用する場合や、傷や病気の治療が目的ではない診察などです。
ICLの他には、
・歯列矯正・インプラント
・美容整形(ほくろ痕など)
・人工授精・体外受精
・人間ドッグ
などが挙げられます。
保険診療の場合は料金を決める基準になる「点数計算表」が国から決められています。そのため、クリニックによって診察代が大きく変わることはありません。
一方自由診療は、診療費用の決め方に基準がないため、その医療機関が独自の裁量で決定。商品を販売するのと同様、需要と供給や受診者に提供できる価値及び粗利の割合を考慮して決定されます。
価格の基準は医療機関によってさまざまですが、ポイントのひとつとなるのが、立地条件です。これは、ICLに限った話ではありません。一般的に賃料や土地代が高い都市部及びその周辺地域に立っている店舗ほど、提供する商品やサービスの価格が高くなっています。クリニックも同様で、都市部に近いクリニックや、アクセスが良好なクリニックほどICLの手術費用を高く設定し、地方にいくほど手術費用は安くなる傾向が多いようです。
・安いクリニックでも大丈夫?
皆さんの中には、なんとなく「ICLの手術費用が、相場よりも安いとなんとなく不安…」と思っている方も多いのではないでしょうか。
確かに、中には「費用を相場よりも高く設定しているのは、それに見合う品質を提供しているからだ」というクリニックもあります。だからといって、手術費用が安いクリニックのすべてにおいて、「きちんと診察してくれないからやめた方がいい」というわけではありません。
前述したとおり、立地の関係で費用を安く設定しているクリニックも。わかりやすい例を出すと、クリニックの土地及び建物が全て自分のものである場合です。賃料を支払う必要がなければ、その分手術の費用も安く設定しているクリニックもあるはず。また、「患者のことを第一に考えた値段設定」ということで、手術の費用を安く設定しているクリニックもあるでしょう。
確かに、ICLを施術してもらうクリニックを決定する時、費用面も選択肢のひとつになります。
しかし、「高いから」「安いから」という理由だけでクリニックを選ぶのではなく、医師やスタッフが信頼できるか、手術に関して納得のいくまで説明をしてもらえたか、接遇応対はよかったかなど、総合的に見て判断することが大切だといえるでしょう。
■レーシックとICLの費用比較

視力矯正法としてICLとよく比較されるのがレーシックです。レーシックは、角膜を削ることによって網膜にピントを合わせ、近視や遠視、乱視を矯正する手術です。ここでは、レーシックとICLの価格を比較するとともに、見え方の違いについて解説していきましょう。
・レーシックとICL、どちらが安い?
レーシックもICLと同様、公的医療保険の対象外なので、自由診療です。費用の相場は、オプションや選択する手術方法によって大きく異なります。レーシックはおおむね両眼20万円から、オーダーメイドの手術方法の場合は両眼35万円以上かかるクリニックが多いでしょう。
また、多くの医療機関は、手術費用の中にアフターケアや定期検診の費用を含んでいます。
ちなみに、レーシック・ICLともに医療費控除の対象となるので、確定申告をすれば医療費が控除される可能性も。加入している生命保険によっては、手術の給付金が支給されるケースがあるので、気になる方は加入している保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。医療機関によっては医療ローンが組めることがあるので、一括での支払いが難しい方は、医療ローンを考えてみるのもひとつの方法です。
・見え方の違いは?
続いて、レーシックとICLの見え方の違いを比較してみましょう。
レーシックは、矯正できる近視や乱視の度数に上限があります。近視や遠視、乱視の度数が強い方ほど角膜をたくさん削らなければならないので、コントラストや見え方の質が若干低下してしまう恐れも…。また、術後に角膜表面にゆがみが生じるため、暗い所で光がにじんだり、まぶしく見えたりする「ハロー・グレア現象」を起こすこともあります。さらに、レーシックを受けた方の中には、術後数年間で近視の症状が出現する「近視の戻り」が起こる可能性もあるのです。
一方ICLは、レーシックと違って角膜を削らないので、レーシックができない人の特徴である、強度近視や乱視にも適用可能。また、眼内レンズの精度が高いので、鮮やかな見え方が期待できるのです。仮にICLの手術後に近視や遠視、乱視が進んで視力が低下してしまっても、眼内レンズの度数を調整することで、良好な視力の維持が可能になりますよ。
確かに価格の面だけで見ると、レーシックの方が安くはあります。しかし、見え方の質や長期的な視力の安定性を考えると、ICLの方に軍配が上がる、と言ってもいいかもしれません。
■総合的に判断し、比較することが大切
視力の矯正手術を受けようと思った時は、どうしても費用が気になってしまうもの。費用だけでなく、長期的な効果が期待できるか、安心できるクリニックか、などさまざまな情報から総合的に判断することが大切です。「高いから」もしくは「安いから」で判断するのではなく、信頼できるクリニックで納得のいく施術をしてもらうようにしましょう。