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視力回復手術ICLは、健康保険の適用外なので費用がかかってしまうというデメリットがあります。そこで気になるのが、ICLで医療保険の給付金は下りるのか?また、確定申告をすれば控除は受けられるのか?ということ。この記事では、保険診療と自由診療の違いを解説するとともに、ICLで医療保険の給付金は下りるのか?また、確定申告をすれば控除は受けられるのか?を解説していきます。
■ICLは最新の視力回復法
ICLは、目の中に小さくて柔らかい、「眼内レンズ」と呼ばれるレンズを挿入することで、遠視や近視、乱視を矯正し、裸眼での視力回復を目指す手術です。
レーシックが角膜を削って視力を矯正するのに対し、ICLは黒目の縁に小さな創口を作って、そこからレンズを挿入する手術を行います。
そのため、何かあった場合は、レンズを取り出すことでも、いつでも手術前の状態に戻すことができます。
手術は点眼麻酔を用いて行われるので痛みはほとんどありません。また、約20分と短時間でできるため、入院の必要がなく、日帰り手術が可能です。
前述した通り、ICLは角膜を削らない矯正方法なので見え方の質が良く、色彩やコントラストがクリアになる、というメリットがあります。
また、一度挿入したレンズは、ケアや交換の必要がなく、長期的に良好な視力を維持することができるでしょう。
一方で、ICLは公的保険適用外の自由診療なので、費用が高くなってしまいます。料金は病院によって異なりますが、およそ45~66万円程度です。度数が強いレンズや乱視用のレンズを使用する場合は、もう少し高くなります。
また、一人ひとりのデータに基づいたオーダメイドのレンズを用いるため、手術までに時間がかかることがあるので注意が必要です。
■ICLはなぜ自由診療なの?

先ほど解説した通り、ICLは自由診療に分類されます。そこでここからは、保険診療と自由診療の違いを解説するとともに、なぜ自由診療は費用が高くなってしまうのか、自由診療はどのような治療に当てはまるのかを紹介しましょう。
・保険診療と自由診療の違い
まずは、保険診療と自由診療について、違いも含めて解説しましょう。
保険診療とは
日本は、誰もがいつでも平等に医療サービスを受けられるように、「国民皆保険制度」を導入しています。
病気やケガで治療を受けた場合、加入している保険組合が治療費の7~8割を支払ってくれるので、私たちは残りの2~3割を負担するだけで、適切な治療を受けることができるのです。
しかし、すべての医療サービスに保険を適用してしまうと、保険組合の財政が圧迫されてしまいます。それを防ぐために、保険診療では適応となる治療方法や薬、料金など、細かい規定が定められています。
自由診療とは
自由診療とは、先ほど解説した保険診療の対象外の治療のことです。保険診療のように「この病気にはこの治療」という細かい規定や制限がないので、一人ひとりに適した医療サービスが受けられるのが特徴です。
また、治療方法や料金を病院ごとに自由に設定できるので、料金が医院によって異なります。
基本的に、生活を豊かにするための治療や先進医療が自由診療の対象となり、ICLもそのうちのひとつです。
・自由診療はなぜ高い
「自由診療=高額な治療」というイメージを持たれがちですが、そういうわけではありません。自由診療は、保険組合の補助が出ないため、自己負担が10割になってしまいます。
そのため、保険診療と比べて高額になってしまうのです。
費用の負担が高くなってしまう自由診療ですが、患者さんも、自分の希望をしっかりと伝えて意に沿った治療を受けられる、というメリットがあります。
一般的に自由診療の治療費は、院長が需要と供給、患者さんへ提供できる価値などを相対的に考慮して決定します。
■ICLは医療保険の給付金対象?
治療費が高額になってしまうと、ICLを受けたくても二の足を踏んでしまう方も多いでしょう。
その場合は、医療保険を活用することで、手術給付金がおりて費用の負担を減らすことができるケースもあります。しかし、医療保険に加入しているからと言って、すべての保険が適用であるとは限りません。
保険適用かどうかは加入している保険会社によって異なります。県民共済やコープ共済、日本生命、明治安田生命、アフラック、メットライフ など、加入している民間保険の給付対象に「有水晶体眼内レンズ挿入手術」が盛り込まれていれば、給付金が下りる可能性があるでしょう。
■ICLは医療費控除の対象になる

ICLは公的保険の適用外、加入している保険会社でも給付金の対象外だった…という人も少なくないでしょう。でも、がっかりする必要はありません。
ICLは医療費控除の対象なので、確定申告をすれば控除が受けられるケースがあります。
医療費控除とは、医療費を支払った際に受けられる所得控除のこと。例え公的保険の適用外の治療であったとしても、1月から12月の1年間の間で支払った医療費が10万円を超えれば、税金の還付が受けられます。
以下の要件を満たした人が、医療費控除の対象です。
・納税者が、本人のため、または本人と生計を一緒にしている配偶者や家族のために支払った医療費であること。
・その年の1月1日から12月31日までに支払いを終えた治療費であること。未払いのものは対象外となります。
医療費控除の金額は
(「支払った医療費」-「民間保険の給付金などで補填された金額」)-10万円です。
控除を受けられるのは最高で200万円までで、1年間の総所得金額が200万円以下の人は、総所得金額等の5%の額が控除となります。
・医療費控除の申請手順
医療費控除を受けるためには、確定申告をしなければなりません。簡単に手順を紹介しましょう。
医療費控除の対象となるのかを確認
領収書や医療費の通知をチェックして、年間の医療費が10万円以上になっているかどうかを確認します。
医療費控除と還付金の金額の計算
控除額の計算方法は、前述の通りです。還付金は、医療費控除額10万円×所得税率で計算します。
確定申告書及び医療費控除の明細書作成
国税庁のホームページや税務署の窓口でそれぞれの用紙を入手して、必要事項を記入します。
確定申告書及び医療費控除明細書を提出
作成した確定申告書、医療費控除の明細書を税務署に提出しましょう。この際、事前に記入ミスや漏れがないかをしっかりと確認しておきます。
還付金の金額を確認
確定申告を終えてから約1カ月~1カ月半ほど経過すると、還付金が支給されます。還付金は、指定の銀行口座への振込か、最寄りの郵便局もしくはゆうちょ銀行の窓口受取かを選択可能です。
もし、うっかり確定申告を忘れてしまった…という場合でも、心配はいりません。領収書があれば、医療費控除は5年間さかのぼって受けることができます。そのため、ICLの手術を受けた場合は、領収書を必ず保管するようにしておきましょう。
■ICLの手術を受けた年は、確定申告を忘れずに!
ICLは公的保険の対象外なので、どうしても高額な費用がかかってしまいます。そのため、「ICLの手術を受けたいけれど、お金が…」と思っている人も多いでしょう。でも、加入している生命保険によっては、給付金がもらえる可能性もあります。また、年末に確定申告を行えば、医療費控除を受けられるケースもあるのです。
ICLは一度挿入すれば、交換不要なので、コンタクトに比べるトータルの費用を抑えることができます。また、医療ローンを組める病院もあるので、あきらめずに相談してみてくださいね。