ICLはやめた方がいい?治療に向いていない人の特徴とは

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目の見え方を改善できるICL。コンタクトレンズやメガネでも視力の矯正はできますが、はたして本当にICL手術によって視力矯正したほうがいいのでしょうか?実は、ICL手術に向いている人、やめた方がいい人がいます。目の特性だけでなく、年齢や性格によってもICL手術による治療が向いていない場合もあるのです。
今回は、ICLによる治療がおすすめの人とおすすめできない人の特徴、目に入れたレンズはその後どうなるのかという疑問まで徹底解説しましょう。

■ICL手術ってどんな治療?

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ICL手術では、近視や遠視、乱視といった屈折異常を矯正するためのレンズを目の中に挿入し、視力矯正を行います。眼内レンズとも呼ばれるICLは、ソフトコンタクトレンズ同様のやわらかさと、長期間目の中に入れても問題のない生体適合性の高さが特徴です。
そんなICLによる視力矯正術には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ICLのメリットとデメリットを確認してみましょう。

・ICLのメリットってどんなところ?

ICLには、2つの大きなメリットがあります。

裸眼で生活できるようになる

ICL手術では、目の中にレンズを入れることによって視力を矯正します。術後はコンタクトレンズやメガネが不要となり、裸眼で過ごせるようになるのです。
近視や遠視、乱視があることによって、常にメガネやコンタクトレンズが必要だった人にとっては、画期的な治療法といえるでしょう。

角膜表面を削る必要がない

角膜の表面を削らないICL手術は、角膜表面を削って視力矯正するレーシックと比べると、比較的術後のリスクが少ない治療法です。角膜を削ることなくレンズを目の中に入れるため、万が一見え方が合わなかったときや異常が起きたときでも、レンズを取り除くことでもとに戻せます。レーシックで起こりがちなドライアイの発症リスクを抑えられるところも、ICLならではのメリットといえるでしょう。
また、レーシックでは対応できなかった強度近視や強度乱視の人も治療が受けられる点もICLの大きなメリットです。レーシックが受けられず視力矯正術を諦めていた人も、ICLなら治療ができるかもしれません。

このほか、施術にかかる時間が短く日帰りで手術が受けられることや、目の中に入れたレンズによる紫外線カット効果も期待できる点も、ICLのメリットといえるでしょう。

・ICLのデメリットには何がある?

ICLの主なデメリットは2つです。

感染症へのリスクがある

レーシックと比べて比較的リスクが少ないICL手術ですが、リスクがないわけではありません。
ICL手術では、黒目と白目の境目を切開してレンズを挿入するため、切り口が塞がるまでは感染症に気をつける必要があるのです。術後は医師の指示に従い、保護メガネや目薬を適切に使用することで感染症を防ぎます。

治療にかかる費用が高め

ICL手術は、一般的な健康保険が適用対象外の施術です。そのため、医療機関ごとのルールによって施術費用が決められる自由診療扱いとなります。
それぞれの医療機関によって費用に差はありますが、両眼で40万~70万円台(税込)となるところが多いようです。

■ICLがおすすめの人の特徴とは

ICLによる視力矯正は、どのような人に向いているのでしょうか?
目が悪い人の中でも、ICL手術を受けるメリットが大きい人の特徴、治療に向いている性格や年齢の目安をご紹介します。

・強度の近視や乱視がある人

近視や乱視の度合いが強すぎると、コンタクトレンズやメガネでの矯正が難しくなります。同じく視力を矯正するための治療法であるレーシックでは、適応できる近視の範囲は-10.00Dまでです。対して、ICLでは-18.00Dとかなり強めの近視まで適応できます。乱視に関しても、5.00Dまで適応が可能です。
ICLは、コンタクトレンズやメガネでの矯正が難しい強度近視や強度乱視の人にもおすすめの治療法といえます。

・ドライアイがひどい人

ドライアイの人の中には、コンタクトレンズをつけていられないほど、重度の目の乾きがある人もいます。目の上にのせるコンタクトレンズは、どうしても目の乾きを強めてしまうのです。
ICL手術では、目の中にレンズを入れるため、ドライアイの症状がひどい人でも症状を悪化させることなく過ごすことができます。

・25~40歳の人におすすめ

ICLは近視が進む可能性が高い18歳未満の人は手術の適応外となっていますが、20~25歳未満の人であっても近視が変動し続けている場合には注意する必要があります。
ICLは、近視や遠視、乱視の数値変動が少なく、視力も安定していることが多い25~40歳の人に向いている治療といえるでしょう。

・メリットとデメリットを理解している人

メリットの多いICL手術ですが、目の一部を切開する治療法でもあるため、事前に感染症へのリスクをよく確認しておき、術後も感染症に対する細心の注意を払う必要があります。
ICLのメリットだけでなくデメリットも理解し、医師の指示に従って適切な対応がとれる人であれば、安全な治療を実現しやすいでしょう。

■ICLがおすすめできない人の特徴とは

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反対に、ICLに向いていない人にはどのような特徴があるのでしょうか?
ICLによる視力矯正をおすすめできない人と、治療に向いていない年齢や性格の特徴をご紹介しましょう。

・老眼がはじまっている人

年齢が40歳前後になってくると、老眼による見え方が気になりはじめます。目の調節力が落ちてくることで起こる老眼には、ICLでの対応ができません。近くが見えやすくなるよう度数を少し弱める、もしくは遠くの見え方をしっかり合わせて、近くを見るときには老眼鏡をかける必要があるのです。
老眼がはじまっている人は、年々変化する見え方に随時対応していく必要があるため、長期間目の中にレンズを入れておくICLは不向きといえるでしょう。

・病気や妊娠・授乳中でリスクがある人

緑内障や白内障、糖尿病に伴って発症する糖尿病網膜症などの目の病気がある場合には、ICL手術を受けられません。眼病治療の際にはレンズを取り出さなければいけないことが多いのです。
また、ホルモンバランスの変化によって見え方が変動しやすい妊娠中や授乳中の人にも、ICL手術はおすすめできません。出産や授乳期間を終えて、視力が安定してきたころに手術を検討してみましょう。

・神経質になりすぎる人

性格上、何ごとにも神経質になりすぎる人は、ICL手術には不向きといえるでしょう。
鮮やかな視界を実現しやすいICLですが、矯正できる見え方には限界もあります。度数は上げれば上げるほどに見えやすくなるものではなく、疲れを感じない程度に留めておく必要もあるのです。
たとえ手術が成功していたとしても、神経質に見え方を求めすぎてしまうことで見えやすさと疲れにくさのバランスがとれず、合わないと感じてしまいやすくなります。
完璧を求めて神経質に見え方を気にしてしまう人は、ICLには向いていないかもしれません。

■ICLは10年後どうなる?メンテナンスの必要性とは

ICLの手術後には、良好な見え方を手に入れ裸眼で過ごせるようになります。
しかし、目の中に入れているレンズは、コンタクトレンズのように洗浄することや交換の必要はないのでしょうか?
ICL手術で挿入したレンズには、術後どんな対応が必要となるのか確認しておきましょう。また、万が一眼病を発症したときの対処法もご紹介します。

定期的な検診を受ける

ICL手術を受けたあとには、医師から指示された頻度で定期的に検診を受ける必要があります。
また、現在のレンズ中央に穴が開いているICLが採用される前までは、ICL手術から10年後に白内障を発症するリスクも少なからずありました。しかし、現在のICLになってからは、白内障となる可能性も大幅に少なくなっています。
手術から数年が経過しても問題なく使える場合が多いですが、合併症の早期発見のためにも年に1回は定期検診を受けましょう。

・目の中に入れたICLは何年持つ?

ICL手術で使用するレンズは、生体適合性の高い素材からできているため、レンズを交換する必要がなく寿命もありません。コンタクトレンズのように毎日レンズを洗浄することもなく、安全に長期間目の中に入れておくことができるのです。
ついついコンタクトレンズをつけたまま寝てしまう人や、洗浄が十分に行えず眼病を引き起こしてしまいやすい人は、早めにICLを検討してみてもいいかもしれません。

・ICLを取り出したいときには?

緑内障や白内障といった目の病気が発覚したときには、挿入したレンズを取り出すことも可能です。レンズを取り出すことで目をもとの状態に戻すことができ、通常の眼病治療が受けられるところもICLならではの特徴といえるでしょう。

■ICLは完璧を求めすぎない人におすすめ

ICL手術のメリットとデメリット、治療に向いている人と向いていない人、術後のメンテナンスの必要性について解説しました。コンタクトレンズやメガネありきの生活から解放されるICL手術は、メリットやデメリットを理解したうえで神経質になりすぎず、疲れにくい見え方を選択できる人に向いているといえます。
コンタクトレンズやメガネでの生活からICLに変えることで、今よりも快適な生活を手に入れてみませんか?

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