ICLの費用はなぜ高いのか?安くできる方法はあるか知りたい!

ICL手術のデメリットのひとつと言えるのが、費用が高いこと。皆さんの中にも、「ICLを受けたいけれど、お金が高いかも…」と思っている人がいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、なぜICLは費用が高くなってしまうのかを解説するとともに、費用の負担を軽くする方法を紹介します。ICL手術を検討している方は、是非参考にしてください。

■ICLってどんな手術?費用の相場は?

まずは、ICLとはどのような視力矯正法なのか、また、ICLの費用の相場について解説します。

・ICLってどんな手術?

ICLとは、眼の中にソフトコンタクトレンズのような柔らかくて小さなレンズを挿入し、遠視や近視・乱視を矯正、裸眼での視力回復をのぞむ手術です。

視力回復の手術と聞くと、レーシックを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ICLはレーシックと違って角膜を削りません。

手術後に白内障などの眼の病気になったり、元の見え方に戻したい、と思ったりした時は、レンズを取り出せばいつでも手術前の眼の状態にすることができます。眼の中に入れたレンズは、日常的なケアの必要がなく、長期的に良好な視力を維持。

ICLは安全性と有効性の高さから、厚生労働省から認可を受けている視力矯正方法です。

・ICLは自由診療の扱いになる

ICLは健康保険の適用外なので、自由診療となります。自由診療とは、公的な医療保険が適用とならない医療技術および薬剤による治療のことで、費用は全額自己負担です。自由診療は、国内では未承認の治療や薬剤を利用する場合や、ケガや病気の治療が目的ではない診療を行う場合に適用されます。

ICLも、眼の病気やケガを治すことが目的ではないため、自由診療の対象に。ICL以外にはレーシックや歯列矯正、国内未承認のがん治療などが自由診療に該当します。

・ICLの料金の相場は?

先ほど説明した通り、ICLは自由診療となるため、手術にかかる金額はすべて自己負担です。ICLの費用の相場は、両眼で税込約40万円から60万円ほどとなっており、病院によって価格に大きな幅があります。一方、レーシックにかかる費用の相場は両眼で約25万円から35万円くらいです。

費用比較をしてみると、ICLよりもレーシックの方が安くなっています。

とはいえ、ICLのほうが高いからおすすめしない、というのは早計というもの。レーシックとICL、どっちがいいのかは、金額のみで判断できることではありません。術後の視力の安定性や矯正の範囲、安全性など総合的に見ていくことが大切です。

■ICLは保険給付金の対象?

ICLを受けた際、生命保険の手術給付金の対象になるのか気になっている人も多いでしょう。ここからは、ICLが民間保険の手術給付金対象になるのかどうか、ICLが高額療養費の対象になるのかどうかもあわせて解説していきます。

・生命保険の給付金は下りる?

ICLが手術給付金の対象になるかどうかは、加入している生命保険の内容によって異なります。手術給付金の対象になる場合は、一般的に3万円から10万円程度の給付金が支給されるでしょう。

自分が加入している保険はICLが手術給付金の対象になるか、対象の場合はいくらくらい給付金が支給されるのか、詳しく知りたい場合は、現在加入している保険会社に問い合わせると良いですよ。問い合わせる際は、正式な手術名称「有水晶体眼内レンズ挿入術」と伝えましょう。

また、保険会社へと手術金の申請をする場合は、診断書の作成が必要になります。給付金が支給される場合は、手術を受ける病院で、診断書が必要な旨を伝えておきましょう。

現在、ほとんどの保険会社では、給付金申請用の診断書フォーマットがHPからダウンロードできるようになっているので、予め準備しておくと便利です。

病院で診断書を作成してもらう場合、ICLの手術費用とは別に診断書作成の手数料が必要となります。

・高額療養費は適用にならない

ICLは高額療養費の対象とはならないので注意が必要です。高額療養費とは、1つの医療機関に払った医療費が一定の金額を超えた場合、超過分が払い戻しされる制度のこと。

一定の金額のことを「自己負担額」と言い、自己負担額は被保険者の所得区分により異なります。

高額療養費制度が適用となるのは公的医療保険の対象となる医療のみです。ICLは公的医療保険の対象外なので、自己負担額の超過分は払い戻しされない、というわけです。

■ICLは医療費控除の対象になる!

ICLの費用の負担を少しでも抑えたい、と思っている方は医療費控除を申請すると良いでしょう。そこで、医療費控除とはどういうものか、医療費控除はどのように申請するのかについて、詳しく解説していきましょう。

・医療費控除とは?

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定の金額(10万円以上もしくは総所得金額等が200万円未満の人の場合は所得合計金額の5%)を超えた場合、その一部を税金の計算所で控除できる制度のことです。つまり、納めた税金が還付される、というわけです。

実は自由診療は、原則として医療費控除の対象外。しかし、以下の目的で行われるものは、控除の対象となります。

・通院費(原則は公共交通機関)

・不正噛合など、子供の歯科矯正費

・妊婦検診・出産費用

・インプラントの治療費

・レーシック・ICLの手術費

・入院中の食事代

そのほか、以下のような診察・治療の対価も医療控除の対象となっています。

・治療に必要な器具の購入費

・健診や謝礼金を除く、医師等による診療・治療の対価

・治療などに必要となる医薬品購入の対価(健康増進・予防が目的のものは除外)

・介護施設および病院に収容されるための人的な役務の提供の対価 など

・医療費控除の申請方法

医療費控除は年末控除で受けることができないので、確定申告を行わなければいけません。医療費控除を受けるためには、まず控除額と還付金の計算を行います。医療費控除額・還付金額の計算式は以下の通りです。

●控除額の計算式

(一年間に支払った医療費の総額 - 保険金などで補てんされた金額)- {10万円(総所得額が200万円未満の場合は所得の合計額の5%)}

●還付金の計算式

医療費控除の金額× 所得税率

※所得税率は所得額によって異なる

計算が終わったら、必要書類を準備します。医療費控除に必要な書類は以下の通りです。

・医療費控除の明細書

・本人確認書類

・医療通知書

・確定申告書Aもしくは確定申告書B

「確定申告書」及び「医療費控除の明細書」は税務署や国税庁のHPから入手して、必要事項を記載していきます。「医療費控除の明細書」とは、医療を受けた本人の名前や病院名、金額などを記載する書類のことです。医療費控除の明細書は、手術等の明細書を見て作成していきます。

作成が完了したら、税務署に提出しましょう。確定申告からおよそ1ヵ月~1ヵ月半後に還付金が戻ってきます。還付金は指定した銀行口座への振込か、もしくは最寄りの郵便局で受け取るかが選択可能です。

平成29年の確定申告より医療費の領収書の提出は不要となりました。しかし、領収書は5年間の保管義務があるので、確定申告が終わったからといって破棄せずに、大切に保管しておきましょう。

■ICLを受けた場合は確定申告を忘れずに

ICLは自由診療なので全額自己負担になってしまいます。さらに、高額療養費の対象にもなりません。しかし、確定申告で医療費控除を行うことによって、いくらかの還付金が返ってきます。ICLの手術費用の負担をできるだけ抑えるためにも、ICLの手術を受けた年には、確定申告を忘れずに行いましょう。

一覧へ戻る