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ICLの手術を受けてみたいけれど、失明などのリスクが怖い…と思っている人は多いのではないでしょうか。また、レーシックとICL、どちらが安全なのか気になっている人もいることでしょう。そこで今回は、ICLで起こりうるリスクを紹介するとともに、リスクを軽減する方法についても詳しく解説します。ICLの手術を受ける予定がある人はもちろん、ICLに興味がある人も、ぜひ参考にしてください。
■ICLとはどんな視力矯正方法?
ICLがどんな手術なのかを解説しましょう。
・眼内レンズを挿入して視力を矯正するICL
ICLは、目の中に小さくてやわらかいソフトコンタクトレンズのような眼内レンズを挿入し、近視や遠視、乱視を矯正する手術です。レーシックと違って角膜を削らないので、角膜に歪みが生じず、視界がぼやけることがない、という特徴があります。
・ICLのメリット・デメリット
前述した通り、ICLは角膜を削らずに手術するため、クリアな視界が期待できます。一度目の中に入れたレンズは、基本的にケアや交換する必要がありません。そのため、10年後・20年後も、変わらずに快適な視力を維持することができるのです。
仮にICLの手術後に白内障などの病気を発症しても、レンズを取り出すことで、手術前の状態に戻すことができます。たとえ手術を受けても、裸眼の人と同じ治療が受けられるのは、心強いのではないでしょうか。
また、ICLはレーシック適応不可である強度近視・乱視の人にも対応できるのも、大きなメリットといえるでしょう。
このようにメリットが非常に多いICLですが、デメリットもあります。1つ目は、費用がかかってしまうこと。ICLは公的保険の対象外になるため、費用は全額自己負担しなければなりません。そのため、高額な料金が発生してしまいます。
もう1つが、手術までに時間がかかってしまうこと。ICLは手術前検査のデータをもとに、一人ひとりに適したオーダーメイドレンズを使用します。もし国内にレンズの在庫がない場合は発注しなければいけないので、レンズ到着まで1~3カ月かかってしまうこともあるのです。
■ICLで失明することはある?副作用や合併症は?

ICLは安全性の高い手術ですが、リスクはゼロではありません。ここでは術後に起こる可能性のある副作用や合併症を紹介しましょう。
・ 緑内障や白内障が起こるリスクがある
目の中には、「房水」と呼ばれる水が循環しています。ICLは、目の中の「虹彩」と「水晶体」と呼ばれる部分の間にレンズを挿入するため、房水の流れが悪くなってしまうことも。房水の流れが悪くなってしまうと緑内障になったり、水晶体が濁ってしまい白内障を発症する恐れがあります。
現在ICLに使用される眼内レンズは、レンズの中心部に穴が開いているので、房水の流れが滞る心配はありません。しかし、レンズが水晶体に接触することで、白内障が発症するリスクは少なからずあるでしょう。
・ 感染症にかかってしまう可能性も
ICLの手術後、傷口がふさがっていないうちに目をこすったり、水が目に入ったりすると、感染症を引き起こす可能性も。感染症にかかると、手術後の傷の直りが遅くなったり、目の中がゴロゴロしたり、涙が出てきたりします。また、まれではありますが、ICLの手術後に重篤な炎症を起こして、最悪の場合、失明してしまう可能性もゼロではありません。
・ ハロー・グレア現象が起こることも
暗い場所で光を見たときに、光の輪が見えたり光がにじんだりする現象を「ハロー」、光が手術前よりもまぶしく感じたり、ぎらついて見えたりする現象を「グレア」と呼びます。ICLの手術後にハロー・グレア現象が起こる確率は、レーシックよりも低いものの、ゼロではありません。もし発症したとしても、数カ月のうちに解消されたり、慣れて気にならなくなったりするようです。
・ 角膜内皮細胞が減少するリスクも
角膜の一番最下層にあるのが「角膜内皮細胞」です。角膜内皮細胞は、角膜の透明性を保つ働きをします。角膜内皮細胞は、加齢やコンタクトレンズの長期装用による酸素不足 などで減少してしまう、非常にデリケートな細胞です。
角膜内皮細胞はICL手術でも減少する可能性があります。しかし、現在使用されている、ホールタイプのICLでは、その心配はほとんどないでしょう
・ 眼圧の上昇の恐れがある
手術後に気分が悪くなる・頭痛がする場合は、眼圧が急激に上がっている可能性があります。眼圧が上昇している場合は、眼圧を下げる薬を点眼するなどの処置を行わなければなりません。
いずれの合併症も、発生する可能性は非常に低いですが、ゼロではありません。目は非常にデリケートな部分です。必ず医師の説明をしっかりと聞いて納得した上で手術を受けるようにしましょう。
■ レーシックとICL、リスクが高いのはどっち?
視力回復方法および視力矯正の手術聞くと、ICLと同時にレーシックを思い浮かべる人も多いでしょう。中には、「いったいどちらのほうがリスクが高いのだろう」と思っている人もいるのではないでしょうか。
レーシックとICLの大きな違いは、角膜を削るか削らないかです。レーシックは角膜を削って角膜のカーブの状態を変え、視力を矯正します。そのため、一度削ってしまった角膜は二度と元に戻すことはできません。とはいえ、角膜表面だけの手術なので、眼内手術に比べると、安全性は高いといえるでしょう。
一方ICLはこれまでお話したとおり、角膜を削ることなく視力を矯正するので、いつでも手術前の状態に戻すのもOK。また、安全性と有効性の高さから、厚生労働省の認可も受けています。
レーシックとICL、どっちがいいかは人それぞれ。一人ひとりの目の状態や、ライフスタイルと照らし合わせて考えるとよいでしょう。
■ICLのリスクを軽減させるにはどうすればいい?

ICLは安全性が高い手術とはいえ、リスクはゼロではありません。しかし、術後の生活に注意すれば、リスクをさらに軽減することができます。ここでは、ICLで合併症を起こさないために、気を付けたいことを紹介しましょう。
・信頼できるクリニックを受診する
ICLは術前の検査やカウンセリングが非常に大切です。そのため、どんな些細な心配事や疑問点も相談できるクリニックを受診するようにしましょう。
ICLの手術方法やリスクをしっかりと説明してもらい、納得した上で手術を受けることが大切です。
・日常生活の注意事項をしっかりと守る
手術後は一定期間、日常生活に制限があります。洗顔や洗髪、入浴、お化粧などはしっかりと医師の指示に従うようにしましょう。自己判断で制限を解除してしまうと、感染症など合併症が起きるリスクが上がってしまいます。
・ 目薬をきちんとさす
ICLの手術後は、消炎剤や抗菌剤の目薬、抗生物質の飲み薬などが処方されます。特に目薬は、1日に4~5回と頻繁ささなければいけません。途中で面倒くさくなったからといって、自己判断で中止するのはNG。目が炎症を起こして術後の回復が遅くなってしまう可能性があります。
・ 術後検診を必ず受ける
ICLの手術後は、翌日検診・3日後検診・1週間後検診・1カ月後検診・3カ月後検診・半年後検診と、繰り返し検診があります。たとえよく見えるようになったとしても、目の中の状態が完全に回復していない可能性もあるので、術後検診は必ず受けるようにしましょう。
■ICLは安全性の高い手術
ICLで失明のリスクはないのかな?ICLのレンズは何年持つのだろう、と不安に思っている人も多いかもしれません。しかし、ICLは、医師の指示や注意点をしっかり守れば、術後合併症のリスクは低く、長期的に良好な見え方が期待できる安全性と有効性の高い視力矯正手術です。手術の方法やリスクをしっかりと理解して、納得してから手術を受けるようにしましょう。