ICLとIPCLの違いって?それぞれの特徴や手術費用を徹底比較してご紹介

出典:photoAC

「遠くが見えにくい」「コンタクトレンズやメガネがないと生活できない」という人には画期的な治療法であるICL手術。ICLやIPCL手術ができるクリニックは、東京都内でも増えてきている現状にあります。

ところで、ICL手術と似て非なるIPCL手術という治療法があることを知っていますか?同じく遠視や近視、乱視を矯正する方法であるこのふたつには、異なった特徴があります。

ICLとIPCLのそれぞれの特徴や手術費用、どういったところに違いが出るのかまで詳しく解説していきましょう。

■ICL・IPCL手術ってなに?

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ICL・IPCL手術といわれている治療法は、遠視や近視、乱視がある人の目の中に度の入ったレンズを挿入して、見え方の改善をはかる視力矯正方法です。目の中にレンズが入っているため、コンタクトレンズやメガネがいらなくなり、裸眼で過ごせるようになります。毎日のレンズ洗浄やメガネをかける手間もないため、コンタクトレンズやメガネでの生活にわずらわしさを感じている人にもおすすめです。

どちらも目の中にレンズを入れる治療に変わりはありませんが、使用しているレンズに違いがあります。

■ICLとはどんなレンズ?

ICLとは、STAAR Surgical社というアメリカのメーカーが開発したレンズのこと。レンズ全体に同じ度数が入っている、単焦点レンズです。そのため、見え方の質が高くクリアな視界が実現しやすい構造となっています。

レンズの中心部には小さな穴が空き、レンズ挿入時の眼圧上昇を抑えた設計となっているところも特徴です。レンズの光学径は6.1mmあり、夜間の光のぎらつきやもやがかかったように見えるハロー・グレアといった現象も起こりにくくなっています。

■IPCLとはどんなレンズ?

IPCLとは、EyeOL社というイギリスのメーカーが開発したレンズのこと。単焦点レンズだけでなく、老眼にも対応できる多焦点レンズも選べるところが大きな特徴です。

レンズには7つの小さな穴が空いており、緑内障や白内障といった眼病のリスクも軽減させるような設計となっています。レンズの光学径は6.6mmと大きめであるため、ハローやグレアが起こる可能性も少ないレンズです。

■ICLとIPCLの違いはどんなところ?

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どちらも目の中に入れて視力を矯正するという点は共通していますが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

ICLとIPCLの違いをまとめてご紹介します。

・レンズに使用されている素材

ICLのレンズは、ソフトコンタクトレンズにも多く使われているHEMA素材と、コラーゲンを含んでいるコラマーという素材から作られています。コラマーに含まれているコラーゲンによって、レンズにタンパク質が蓄積しにくくなっているところが特徴です。生体適合性が高く、長期間目の中にレンズを入れておくことができる素材となっています。

一方、IPCLのレンズには、ハイブリッド親水性アクリルという素材が使われています。素材は違いますが、ICLのレンズと同様にタンパク質汚れがつきにくい素材です。なめらかな構造となっているレンズ表面は、見え方の質の向上にもつながっています。

・老眼対応のレンズの有無

ICLのレンズはすべて単焦点レンズのため、手元を見る際には老眼鏡をかける必要があります。しかし、レンズ全体に一定の度が入っているため、見え方が安定しやすいところがメリットです。運転することが多い人や屋外でも遠くをしっかり見たい人には、ICLが向いているといえるでしょう。

IPCLには、単焦点レンズだけでなく多焦点レンズもあります。多焦点レンズは、ひとつのレンズの中に遠くと中間、近くのものを見るための度が段階的に入っているレンズです。手元を見る際には手元用の度で焦点が合わせられるため、単焦点レンズで見たときよりも近くが見えやすくなります。

ただし、さまざまな距離に対応した度がひとつのレンズに入っている点には注意が必要です。単焦点レンズと比べると見え方はぼやけやすく、ピントが合うまでに時間もかかります。

コンタクトレンズやメガネで遠近両用の見え方に慣れている人は、老眼にも対応したIPCLを検討してみてもいいかもしれません。

・手術にかかる費用の違い

医療機関によっても異なりますが、ICL手術にかかる費用は両眼の税込みで約45~66万円が相場となっています。IPCL手術では、両眼の税込みで約70~90万円ほどの費用がかかるところが多いようです。ICLとIPCLでは、IPCLのほうが手術にかかる費用が少し高くなっていることがわかります。IPCLで失敗したという思いをしないためにも、事前にどんなレンズが使用される確認しておくといいかもしれません。

製造しているメーカーに違いはありますが、遠くをしっかり見たい・費用をできるだけ抑えたいといった人には、ICLがおすすめであるといえるでしょう。

■ICLのメリット・良さとは?

眼内レンズの中でもICLを選ぶことには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

ICLを選ぶメリットやICLならではの良さをご紹介しましょう。

・鮮明度が高く見えやすい

レンズ全体に一定の度が入っている単焦点レンズのICLは、鮮明度の高いクリアな視界を実現できるところが大きな魅力です。メガネでのくもりや、コンタクトレンズ使用時のぼやけ感などもなく、安定して鮮やかな視界をキープすることができます。

よりはっきりとした見え方を希望する人には、ICLがおすすめです。

・ハロー・グレアを感じにくい

ICLのレンズは、多焦点レンズのIPCLやハードコンタクトレンズなどでも感じやすい、ハロー・グレアといった現象が起こりにくい構造となっています。夜の運転時やトンネル内を通過するときに光がにじんで見える、光のまわりにぼやけた輪が見えるといった現象であるハローやグレアの見え方は、運転に支障をきたしやすい症状です。

特に夜間の運転が多い人は、ICLを選んでみるといいかもしれません。

・多焦点レンズより見え方に慣れやすい

多焦点レンズでは、遠くと中間、近くといったどの距離を見るときであっても、ピントが合うまでにタイムラグが発生します。多焦点レンズの見え方に慣れていない人にとっては違和感となりやすく、なかなか慣れない場合も多いです。

ICLでは、ひとつの焦点のみですがピントが合いやすい状態になっています。目の中にレンズを入れたことで慣れるまでに時間はかかりますが、比較的違和感のでにくいレンズであるといえるでしょう。

■ICL手術をご検討の際には渋谷眼科クリニックへご相談ください

ICLとIPCL手術の違いをご紹介しました。製造しているメーカーは違いますが、どちらも目にかかる負担が少ない素材からできているため、その機能性や費用などを含めて選んでみるといいでしょう。適応検査を受ける前には、今の生活スタイルや、特にどのくらいの距離のものをしっかり見たいかなどの条件をあらかじめ確認しておくとスムーズです。

今の見え方やコンタクトレンズの使用、メガネでの生活に不便さを感じているなら、ICLを検討してみませんか?

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