遠近トレーニングで視力回復を目指そう!やり方やコツを紹介

パソコンやスマホを見ていると「眼が疲れてぼやけて見えてしまう」と感じることはありませんか?その状態のままでいると、本当に視力が悪くなってしまうかもしれません。

そこで今回は、「遠近トレーニング」に注目してみましょう。トレーニングのやり方やコツ、期待できる効果などをまとめました。

見えにくさを感じている方はもちろん、パソコンワークが中心の仕事をしている方、スマホを見る時間が長くなってしまう方は必見です。

■遠近トレーニングとは?

遠近トレーニングとは、近くと遠くを交互に見て行う、眼のトレーニングです。意識的に近くと遠くを見つめることで、眼の筋肉をほぐし、眼球の動きをスムーズにする目的があります。遠近トレーニングを実践すると、視力回復が見込めるケースも。

では、遠近トレーニングについてもっと深掘りしてみましょう。どんな人に有効なトレーニングなのか、どうして視力回復につながるのか、解説します。

・遠近トレーニングは眼を酷使する人に有効

遠近トレーニングは、「パソコンを長時間使用してデスクワークしている」「ついついスマホを見すぎてしまう」など、眼を酷使し疲労を感じている人に有効です。

眼を酷使していると、周囲の筋肉が固くなり、血流も滞りがちになります。その結果、眼に酸素が行きわたらなくなってしまったり、視界がぼやけてしまったりと、眼にとってよくない状態に。さらに、視力低下や眼精疲労の一因ともなりかねません。

そこで「眼が疲れてきたな」と感じたときに遠近トレーニングを行えば、眼の調子を整えられるのです。

・なぜ遠近トレーニングで視力回復が見込めるのか

遠近トレーニングで視力回復が見込める理由は、凝り固まった筋肉をほぐせる点にあります。もう少し詳しく説明しましょう。

私たちはものを見るとき、眼球の一部である水晶体の厚みを調整し、見たいものにピントを合わせています。水晶体は、遠くを見るときは薄く、近くを見るときは厚くなるのです。

水晶体の厚みをコントロールしているのは、「毛様体筋(もうようたいきん)」と呼ばれる筋肉。遠くを見るときは、筋肉を緩めて水晶体を薄くします。ところが、近くを見るときは筋肉を緊張させて、水晶体を厚く膨らませなければなりません。

つまり、長時間近くを見ていると毛様体筋の緊張状態が続き、疲れてしまうのです。毛様体筋が疲労すると、水晶体の厚みをコントロールしにくくなり、ピントの調整がうまくいきません。そうなると、「ぼやけて近くが見にくい」といった症状が現れてしまうことも。

毛様体筋をほぐすには、意図的に筋肉を伸縮させる遠近トレーニングが効果的です。毛様体筋の凝りが解消すれば、ピントを合わせやすくなり「見やすくなった!」と実感できるでしょう。

■注意!遠近トレーニングで視力回復が見込めるのは仮性近視

ここで、ひとつだけ注意しておきたいのが、「トレーニングすれば誰でも視力回復できるわけではない」ということ。というのも、近視には2種類あり、視力回復が見込める近視と、見込めない近視があるのです。

遠近トレーニングで視力回復が見込めるのは、「仮性近視」のみ。では、仮性近視とはどのような近視なのか、把握しておきましょう。

・近視は2種類ある

近視には、「仮性近視」と「軸性近視」の2種類あります。

仮性近視とは、一時的な近視です。原因は、眼の使い過ぎによる毛様体筋の緊張。ピントが合いにくい状態のため、一時的に見えにくくなります。

一方、軸性近視とは、眼球自体が伸びてピントが合わなくなってしまう近視です。軸性近視は遺伝が原因の場合がありますが、仮性近視が続くことで眼球が伸びて軸性近視になってしまうケースもあります。

・軸性近視はトレーニングでは視力回復できない

一度伸びてしまった眼球は、元の状態に戻せません。そのため軸性近視の場合、トレーニングしても視力回復が見込めないでしょう。

軸性近視を矯正するには、メガネやコンタクトレンズの装用、ICL(眼内レンズ)やレーシックなどの治療が必要です。

ただし、仮性近視の段階でトレーニングを継続していれば、軸性近視の予防にもつながります。

特に眼を酷使する方はトレーニングを習慣化し、軸性近視を防ぎましょう。

■遠近トレーニングのやり方【3パターン】

続いて、遠近トレーニングのやり方を具体的に紹介します。

「遠近トレーニング」とひとことで言っても、やり方はさまざま。ここでは3つのパターンをまとめました。

【1】近くの指と少し離れた目標物を交互に見る

① 片手を前に伸ばして親指を立てる

② 親指の直線上で、3mほど先にあるものを目標物にする

③ 親指の爪先と目標物を1秒ごと交互に見つめる

④ 1日5分行う

ポイントは、親指と目標物にしっかりピントを合わせて見つめること。1日5分が目安ですが、何回かに分けてトータル5分でも、1回でまとめて5分行っても、どちらでもかまいません。

【2】手前の指と遠くの目標物を交互に見る

① 片手を前に伸ばして親指を立てる

② ビルや建物など遠くにあるものを目標物にする

③ 親指と目標物を3秒ごと交互に見つめる

④ 1回のトレーニングで③を3回繰り返し、1日2回行う

このトレーニングは、遠くの景色が見えるように窓際か屋外で行いましょう。親指を立てるかわりに、ペンなどを持って注視してもOKです。

【3】指を前後にスライドさせる

まず、親指の爪に「C」を書いた紙を貼るか直接爪に書いて準備します。

近視と遠視でやり方が少し異なるので、ご自身が当てはまる方でチャレンジしてください。

【近視の方】

① 親指を立て、「C」がはっきり見える位置からスタートする

② 「C」がぼやける位置まで腕を伸ばして遠ざける(1秒間)

③ スタートの位置まで戻す(3秒間)

④ 1回のトレーニングで②と③を3回繰り返し、1日2回行う

【遠視の方】

① 親指を立て、「C」がぼやけて見える位置からスタートする

② 「C」がはっきり見える位置まで腕を伸ばして遠ざける(1秒間)

③ スタートの位置まで戻す(3秒間)

④ 1回のトレーニングで②と③を3回繰り返し、1日2回行う

指の動きに追従しながら、しっかり「C」を見つめましょう。離すときは素早く、戻すときは時間をかけるのがポイントです。

遠近トレーニングのコツ

遠近トレーニングをより効果的に行うには、いくつか意識したい点があります。次に紹介するコツを抑えながら、トレーニングしましょう。

・標物はなるべく距離があるものを

遠くに目標物を設定する場合は、なるべく距離が離れているものを選んでください。見えるようなら、何kmも先の景色を目標物にするといいでしょう。

ただし、「具体的に何km!?」とこだわりすぎる必要はありませんよ。

・遠近の目標物は一直線上に

目標物を決めるときは、近くの目標物と遠くの目標物を一直線上に設定しましょう。顔や眼を大きく動かさずにトレーニングすることが大切です。

というのも、眼を激しく動かしてしまうと網膜剥離を引き起こす危険があるため。「眼が上下に動いてしまっているな」と感じたら、目標物が一直線上になっているか確認し、位置を調整してください。

・継続して取り組もう

遠近トレーニングは、一瞬で視力を上げる方法ではありません。継続しないと、効果が期待できないのです。

日々続けるのは大変ですが、「トレーニングが終わったらお気に入りのおやつを食べよう」などモチベーションを維持しながら取り組んでみてください。

■あわせて行いたい視力回復トレーニング

視力回復トレーニングは、遠近トレーニングのほかにもあります。ここでは自宅でも簡単にできる3つの方法を紹介するので、ぜひトライしてみてくださいね。

眼球運動

① 両手の親指を立て、肩幅くらいに左右に広げる

② 左右の親指を交互に見つめる

③ ②を3往復する

④ 同様に、親指を上下、斜め、逆の斜めに広げ、それぞれ3往復する

2つの親指を交互に見るとき、顔の位置を固定して眼球だけ動かすようにしましょう。回数の目安は、1日1回です。

・左右交互にウィンク

① 左右の眼を交互にウィンクする(10~20回)

② 1回目より素早く左右交互にウィンクする(10~20回)

③ 力を入れて左右交互にウィンクする(10~20回)

④ 両眼をグッと閉じ、パッと開ける(3回)

左右交互にウィンクするときは、テンポよく行いましょう。意識的に眼の開閉をすることで、筋肉をほぐすだけでなく、表情筋のトレーニングにもつながります。

・眼球をぐるぐる動かす

① 顔の位置を固定し、眼球を大きく円を描くように動かす(10秒間)

② 右回り、左周りをそれぞれ2~3周行う

③ 寄り目にする(5秒間)

トレーニング中に気持ち悪くなってしまう方は、眼を閉じて眼球を動かしてみてください。

ぐるぐると線を書いた紙を壁に貼り、30cmほど離れたところから見て、線を眼でたどる方法もありますよ。

■遠近トレーニングで眼の筋肉をリフレッシュさせよう

遠近トレーニングは、眼の筋肉の緊張をほぐし、一時的な見えにくさを回復させてくれます。今回紹介したトレーニング方法やコツを参考に、実践してみてください。

「遠近トレーニングを続けても視力回復しない」と感じる方は、無理せず矯正を検討しましょう。

渋谷眼科クリニックでは、ICL手術やコンタクトレンズの処方、眼精疲労の治療などを行っています。視力に不安がある方は、ぜひ当院にご相談ください。

一覧へ戻る