ARTICLE 記事
近視と遠視の違いは?乱視・老眼や矯正方法などについてもご紹介

日常生活のなかで感じる見えにくさ。その理由には、どのようなものがあるのでしょうか。今回は、近視と遠視の違いのほか、乱視や老眼などについてもご説明していきます。また、矯正するための方法についても詳しくまとめていますので、目の見えにくさを自覚している方、眼科で近視や遠視などを指摘されたことがある方はぜひお読みください。
■目が見えにくい理由は?

目は、カメラと似た構造になっています。わかりやすくご説明すると、カメラのレンズにあたるものが目の前方にある角膜や水晶体、フィルムにあたるものが目の奥にある網膜です。ものを見るときは、毛様体筋(もうようたいきん)も大きな役割を果たしています。水晶体の厚さを調節することで、ピントを合わせる働きをしているのです。
ものの色や形は、光として目に入ってきます。そして、レンズ(角膜や水晶体)で屈折してフィルム(網膜)上に集まり、画像として映し出されるのです。映し出された画像の情報が脳に伝達されることで、私たちはものが見えていると感じます。このときに光の集まるところが、ピントの合う位置(焦点)です。
外から入ってきた光が角膜・水晶体で屈折され、焦点が網膜上でぴったりと合う状態を「正視」といいます。簡単にいうと、メガネやコンタクトレンズなどを使わなくてもはっきりと見える、正常な目のことです。ここからは、近視・遠視・乱視・老眼について見ていきましょう。
・近視
近視とは、簡単にいうと、焦点が網膜より手前にある状態です。前述のように、網膜は画像が映し出される部分。近視の場合では、網膜に映る画像が広がってぼやけます。
このような現象から、近視は主に遠くがぼやけて見えるのが特徴です。近視の度数は焦点が水晶体に近ければ近いほど強くなります。
近視は、その原因により軸性近視と屈曲性近視の2つにわけられます。軸性近視とは、目の変形により目の前後が長い状態。近視の多くを占めています。それに対して屈曲性近視とは、光を集める力(屈曲力)が強すぎることにより、焦点が網膜より手前であってしまう状態です。
近視が進行する要因としては、遺伝的なものと環境的なものがあります。特に注目したいのが環境因子。スマホなど近くのものを見る場合をイメージしてみましょう。
遠くの景色を見る際、光は目に対して平行に入ってきます。しかし、近くの光は広がるように目に向かうため、焦点が網膜よりも奥(目の外)となるのです。このような目の使い方を続けることにより、目はピントを合わせるために後方へと細長く変形。これにより網膜の位置はさらに焦点と離れるため、近視が進行してしまいます。
・遠視
遠視とは、焦点が網膜よりも後方にある状態のことです。目がリラックスした状態では、近くものだけでなく遠くのものもぼやけてしまい、はっきりと見えません。しかし、毛様体筋による調節力が働いてピントを合わせようとするため、若いときは気づかないことも。この場合は、年齢を重ねて調節力が弱くなってから、見えにくさに気づきます。どちらにしても、常にピント調節が必要であることに変わりないため、疲れやすい目であるといえるでしょう。遠視には、近視と同様に軸性遠視と屈曲性遠視がありますが、多くの場合はその両方が混在しています。
赤ちゃんは、目が小さく網膜が手前にあるため、軽い遠視の状態です。多くは成長に伴って解消されていきますが、遠視の程度が強い場合では、大人になってからも遠視が残るケースもあります。子どもの遠視は、弱視や斜視などにつながる可能性もあるため、早めの介入が必要です。
・乱視
角膜や水晶体のゆがみにより焦点が網膜に合わない状態を、乱視といいます。角膜や水晶体の形がきれいな場合、焦点は1点です。しかし、ゆがみがあると光を1点に集められません。これは、目のなかのどの位置でも焦点を結ばない状態。そのため、ものや文字がぶれる、二重になるなどの見え方の異常が生じます。
乱視の種類は、正乱視と不正乱視の2つ。正乱視は生まれもった角膜や水晶体の形、不正乱視は外傷や炎症などによる角膜のゆがみにより起こります。
・老眼
老眼とは、加齢により近くにピントを合わせられなくなる状態です。目が正常な状態では、毛様体筋が縮んで水晶体が厚くなることで、近くにピントが合います。しかし、年を重ねると水晶体が硬くなって弾力がなくなり、毛様体筋が縮んでも水晶体が厚くならなくなってしまうのです。そのため、近くにピントが合わず手元が見えにくくなります。
老眼と同様の症状が、10代や20代などの若い世代で見られるケースも。背景にあるのは、スマホやパソコンなどの画面を長い時間見続ける生活習慣。このような生活習慣により老眼のような症状が見られる状態を、スマホ老眼と呼びます。「もしかしたらスマホ老眼かも」という方は、まずはスマホなどを使う時間を短くして目を休ませましょう。スマホ老眼は通常の老眼とは異なり、生活習慣の改善や治療などにより回復することがほとんどです。
■自分でチェックする方法
近視・遠視・乱視の可能性をチェックする方法をご紹介します。
・レッドグリーンテスト
光の波長(色の種類)の違いを利用して、横に並べた赤色と緑色のなかの文字や点を見る検査です。メガネなどの度数が合っているのかを調べる検査のため、経験のある方もいるかもしれません。
正視の場合は、赤色と緑色のどちらも同じくらいはっきりと見えます。しかし、赤色のなかにある文字や点の方がはっきりと見える場合には近視、緑色の方がはっきりと見える場合には遠視の疑いが。レッドグリーンテストはインターネット上で見つけられるので、試してみるといいでしょう。
・乱視検査表
均一な太さの線が、放射状に並んだ検査表です。乱視がない場合は線が均一に見えますが、乱視がある場合は特定の線だけ太く(濃く)見えます。普段からものが二重に見えたりぼやけて見えたりする方は、チェックしてみてください。
これらでチェックして近視・遠視・乱視の可能性がある方は、眼科で診察を受けることをおすすめします。また、結果に関わらず、普段の生活で見えにくさが気になっている方も受診しましょう。
■矯正するための主な方法は?

近視と遠視を矯正するための主な方法を、メリットも含めておさらいしておきましょう。
・メガネ
近視と遠視のほか、乱視・老眼の方でも使えます。メガネのメリットは、特別なケアが不要なことです。メガネ拭きで軽く拭き取るだけで、汚れがきれいになります。また、目の負担が少ないことも特徴。しかし、運動時に視野が狭くなることや外れやすいこと、顔の印象が変わることなどから、メガネを好まない方もいます。
・コンタクトレンズ
コンタクトレンズは、近視・遠視・乱視の矯正が可能です。コンタクトレンズの種類は、ソフトタイプとハードタイプの2種類。ハードタイプは、慣れるまでの異物感はあるものの、矯正力が高く酸素をしっかりと通します。ソフトタイプのメリットは、自然なフィット感が得られやすいこと、激しく運動しても外れにくいことなどです。どちらを選んだとしても、メガネのように印象を変えることなく、矯正できるでしょう。
一方で、1dayのコンタクトレンズ以外の場合は、専用洗浄液できれいにして適切に保管するなど、毎日のお手入れが必要となります。また、ドライアイや感染症などのトラブルが起こることもあるため、使用の際は注意が必要です。近年では、カラコン(カラーコンタクトレンズ)も多く出回っています。しかし、なかには安全性が心配なものもあるため、眼科でしっかりと相談することが大切です。
・レーシック
レーシックとは、角膜をレーザーで削って形状を変えて、近視・遠視・乱視の屈折異常を矯正する視力矯正手術です。メガネやコンタクトレンズを使用せずに、裸眼で生活したい方に選ばれています。しかし、角膜を削る手術のため、不具合があってももとに戻せません。また、夜間を中心に光が見えにくい「ハロー・グレア現象」が起こる可能性があることも、デメリットのひとつです。
・ICL(眼内コンタクトレンズ)
ICLは、目のなかにレンズを移植し、近視・遠視・乱視などを矯正する治療法です。メガネやコンタクトレンズとは異なり、裸眼での視力を回復させられます。レーシックとの違いは、術後に不具合が生じた場合に、レンズを取り出して術前の状態に戻せること。また、ドライアイのリスクが低いことや、目にとって有害な紫外線をカットできることも特徴です。さらに、レーシック適応外となった方が施術を受けられることも、ポイントといえるでしょう。
■目の悩みがある場合は眼科を受診しよう
近視と遠視の違い、視力の矯正方法についてご紹介しました。現在見えにくさを感じている方はそのままにせず、眼科を受診することが大切です。近視や遠視を矯正する際は、メガネやコンタクトだけでなく、ICLなども選択肢として知っておくといいでしょう。
「渋谷眼科クリニック」は、ICLを専門とするクリニックです。ほかに、コンタクトレンズの処方なども行っていますので、目の見えにくさでお悩みの方はご相談ください。