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視力回復に目薬は有効なの?効果や注意点をご紹介

目が乾いたときや疲れたときに、目薬をさすという方は多いのではないでしょうか。中には、日常生活に目薬は手放せないという方もいると思います。実は、目薬にはさまざまな効果が期待できるんです。中には、視力回復に有効だと言われる目薬も。そこで今回は、視力回復に効果が期待できる目薬と、使用時の注意点をご紹介します。
■近視の進行を遅らせる治療法とは?

まずは、近視の進行を遅らせるのに効果的とされている治療法についてご紹介しましょう。
・目薬
目薬を用いた近視の治療は、近視になる前段階の「仮性近視(偽近視)」の時期に行われることが多いようです。
子供の仮性近視の治療に使われるのが、毛様体筋と呼ばれる眼のピント調節の筋肉を一定時間弛緩させて、近視の抑制を目指す調節麻痺点眼剤です。
近くを見る作業を長く続けると、毛様体筋は近くにピントを合わせたまま緊張状態に陥ってしまいます。毛様体筋の緊張状態が続くと、近視化しやすくなると言われているのです。
点眼すると、数時間の間瞳孔が開きっぱなしになり、光がまぶしかったり近くが見えにくくなったりするため、必ず就寝前に点眼を行います。
・ワック
仮性近視の治療として、目薬と一緒に用いられるのがワックです。器械の中に映し出される、近づいたり遠ざかったりする風景の写真を一定期間見つめることで、眼の緊張を緩和させて、眼の焦点を遠くに順応させる治療です。
・オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは、就寝中に専用のコンタクトレンズを装用することで、角膜の形状を矯正し、日中裸眼で過ごせるようにする近視の矯正方法です。軽度から中等度の近視および近視性乱視の人には効果を発揮しますが、強度近視の人にはあまり効果が期待できません。また、オルソケラトロジーは保険適用の対象外なので、レンズ代も含めて治療費はすべて自己負担となります。
・眼の運動などの民間療法
遠くの山を見る、眼の運動をするなどの民間療法を実践している人も多いのではないでしょうか。眼のトレーニングを行うと、毛様体筋の緊張がほぐれるのでピントを合わせやすくなる効果は期待できますが、近視の根本的な治療としては期待できないでしょう。
■目薬による近視の治療方法
続いて、近視の治療に効果的とされる目薬について解説していきましょう。
目薬による治療が有効とされているのは、主にドライアイが原因で視力が低下しているケースと、前述した仮性近視のケースです。主な目薬を症状別にご紹介します。
・ドライアイによる近視に効果的な目薬
ドライアイは、眼を保護する涙の質や量が低下することで眼の表面が傷つき、眼の渇きや痛み、不快感などを引き起こす病気です。ドライアイが重症化すると、眼がかすむ・ぼやけるなど、視力低下を引き起こすことがあります。
ドライアイによる視力低下が気になる場合は、涙の質や量を向上させる目薬を点眼することで、症状改善が期待できます。主な目薬は以下の2つです。
ジクアス点眼液
ジクアス点眼液は、眼の表面と涙を結びつける「ムチン」と水分の分泌を促す目薬です。特に、涙の量が少ないタイプのドライアイに効果的とされています。
この目薬は、効果に個人差があることが特徴で、「目が快適になった」という人もいれば、「まったく効かない」という人もいるようです。主な副作用として、目ヤニが出やすくなる場合があります。また、コンタクトをしている人や、妊娠・授乳中の人、薬や食べ物にアレルギーがある人は使用に注意が必要です。
ムコスタ点眼液
ムチンを補給すると同時にムチンと水分の分泌を促し、涙液の量と質を増加させる目薬です。また、眼の炎症を抑える働きもあります。臨床試験では、自覚症状の改善効果が示されたことで話題となりました。一般的に、ジクアス点眼液で効果がなかった人にムコスタ点眼液が処方されることが多いようです。
主な副作用として、点眼した後に苦みを感じる、眼の刺激感・かゆみ・かすみなどが報告されています。
・仮性近視に効果的な目薬
続いて、仮性近視の治療に使われる、毛様体筋を弛緩させる作用のある目薬を紹介しましょう。
ミドリンM点眼液
ミドリンM点眼液は、調節麻痺作用のある目薬で、点眼すると毛様体筋の緊張が和らいで近視が改善すると言われています。そのため、軸性近視には効果がないので注意が必要です。就寝前に点眼し、点眼後1~5分程度は眼を閉じて目頭を押さえておかなければいけません。
また、点眼後に多少しみることがあります。点眼後数時間は、光がまぶしくなったり手元がぼやけたりするので、夜中にトイレなどに行く場合は注意しましょう。
低濃度アトロピン点眼液
アトロピンという目薬を約100倍に薄めたものです。
健康保険の適応外の点眼薬なるため、費用は全額自己負担です。
アトロピンは、毛様体筋の緊張を和らげる効果がありますが、日本で認められている濃度のものには、まぶしい・近くが見えづらい、といった副作用のほかに、アレルギー性結膜炎・皮膚炎・眼の痛みなどのリスクが発生することが報告されており、長期的な使用ができませんでした。
しかし、低濃度のアトロピンでも成長期の眼軸長の伸びを抑えて近視の進行を抑制でき、さらに点眼を中止しても効果が持続するとわかってきたことから、低濃度アトロピン点眼液を導入する医療機関が増えているようです。
ただし、近視の進行を止める効果はなく、あくまでも近視の進行抑制効果が期待できる目薬だと理解しておきましょう。
サンドールMY点眼液
サンドールMY点眼液は、ミドリンM点眼液と同じ成分が配合された目薬で、毛様体筋を弛緩して眼のピント回復を目指す目薬です。
まれに、副作用としてまぶたの腫れやかゆみ、じんましん、吐き気、頭痛などが起こるとされています。
■目薬による近視治療の注意点

目薬による近視治療を開始する際は、いくつかの注意点があります。それぞれ詳しく解説していきます。
・視界がぼやける
仮性近視を治療するための目薬は、毛様体筋を弛緩させる効果があるので、ピントが合いづらくなり、視界がぼやけてしまいます。特に、近くのものが見えにくくなるでしょう。また、光がまぶしく感じられるため、必ず就寝前に点眼することが重要です。見えにくさやまぶしさは、個人差はありますが3~5時間程度続きます。睡眠時間が短いと、朝起きても目薬の作用が続いている場合があるため注意しましょう。
・自費診療の場合は治療代が高くなる
低濃度アトロピン点眼液は、保険適用対象外なので全額自己負担となります。金額は取り扱っている医院によって異なりますが、海外メーカーのものを輸入して使用する場合、月々3,000~4,000円程度かかることも。このほかに診察代や検査代が必要なので、治療が長引くと、そのぶん費用がかさむことになります。
・近視の種類によっては回復ができない
目薬の効果が期待できるのは、ドライアイによる視力低下や仮性近視の場合などで、近視の種類によっては効果が期待できないものもあります。例えば、眼の軸が長くピントが網膜の手前で結ばれることで起こる軸性近視は、目薬の効果は期待できないでしょう
また、市販のドライアイの目薬では効果は期待できません。例えば、眼の渇きによるかすみなどによいと話題のメディカルaなどもありますが、やはり眼科で処方された目薬の方がおすすめです。目薬は、診察を受けたうえで医師に処方してもらうようにしましょう。
■視力回復には近視の根本的解決が必要
目薬は、近視の進行を抑制する効果が期待できますが、近視の根本的な解決にはなりません。快適な見え方を長期間維持したいのであれば、ICL(眼内レンズ)を検討してみてはいかがでしょうか。ICLは眼の中に小さなレンズを入れて、近視や遠視、乱視を矯正し視力回復を目指す治療法。安全性と有効性の高さから厚生労働省の認可も受けています。眼鏡やコンタクトなしで生活したい、近視を治したい、と思っている方におすすめです。ICLについて知りたい方は、ぜひ当院へお気軽にお問い合わせください。