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目の手術にはどれくらいの種類がある?ICL手術は簡単ってホント?

ひとくちに目の手術と言っても、日帰りでできるものから入院が必要なものまで、さまざまな種類があります。そこでこの記事では、主な目の手術について、概要や手術の方法をわかりやすく解説。また、今話題になっている視力矯正手術「ICL」について、メリット・デメリットも含め、詳しくご紹介。ICLやレーシックなどの近視矯正手術を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
■眼科で行う目の手術一覧

まずは、眼科手術にはどのような種類があるのか、一覧でご紹介しましょう。
・白内障手術
手術が必要となる眼疾患の中で、もっとも多いとされているのが白内障です。白内障は、目の中の水晶体という部分が加齢により濁ってしまい、視力が低下する病気。
白内障には進行を抑える点眼薬はありますが、病気を完治する薬はありません。そのため、手術で対応するケースがほとんどです。
白内障の手術は濁った水晶体を取り除いて、代わりに小さな眼内レンズを目の中に挿入します。手術にかかる時間は片目でおよそ10~20分で、日帰り手術が可能です。手術の際は点眼麻酔を行うので、痛みはほぼありません。
多くの人は、日帰りで片目ずつ、眼科医による手術を受けますが、持病等がある人は入院で手術を行うケースも。
白内障手術は、挿入する眼内レンズの種類によって、保険適用になるケースとならないケースがあります。1つの距離にピントを合わせる単焦点レンズを眼内に挿入する超音波手術の場合は、保険適用です。費用の目安は片目で1万5,000円~4万5,000円。
しかし、単焦点レンズでも、レーザー手術を希望する場合は自由診療となります。遠近両用など、2つ以上の距離にピントを合わせる多焦点レンズの場合は選定療養となりました。
選定療養とは、差額の費用を払って、保険適用の治療と保険適用外の治療を併用することです。
例えば、超音波手術で多焦点レンズの挿入を希望する場合は、保険適用となる手術代1万5,000円~4万5,000円+レンズの差額代の約30~40万円が必要となります。
・緑内障手術
緑内障とは、外界からの光を脳へと伝達する「視神経」という部分に障害が起こることで、視野が狭くなる病気。一度傷んでしまった視神経は元に戻すことはできません。そのため、失ってしまった視野を再び取り戻すこともできないのです。緑内障は進行すると、最悪の場合失明してしまうこともあります。
緑内障の原因のひとつとして、眼圧の上昇が挙げられます。治療法は、眼圧を下げる点眼やレーザー治療の他、手術を行うことも。緑内障の手術には、以下の3種類がありますが、いずれも保険適用です。
線維柱帯切開術
眼球の中を流れる「房水」という液体が流れにくくなることにより、眼圧が上昇することがあります。そこで、目詰まりをしている繊維柱帯という部分を切り開いて目詰まりを解消し、房水を流れやすくする手術が、「線維柱帯切開術」です。
日帰りが可能な手術で、費用は保険診療3割負担、片目およそ8万円となります。
線維柱帯切除術
繊維柱帯の一部を切除して、房水の出口を新しく作る手術です。こちらも日帰り手術が可能。
費用は、繊維柱帯切開術と同様、保険診療3割負担で、片目およそ8万円ほどです。
インプラント手術
目の中にインプラントを挿入することによって房水を人工的に目の外へと排出する手術です。点眼治療や他の手術で効果が得られないときに行われます。
インプラント手術は、2012年に保険適用となりました。費用は保険診療3割負担で片目およそ12万円です。
・レーシック手術
視力を矯正する外科手術です。エキシマレーザーを使用して角膜を削り、近視や遠視、乱視を矯正します。手術は点眼麻酔をして行われるので痛みが少なく、手術自体は片目10分程度で終わるため日帰り手術が可能です。
レーシック手術は保険適用外なので、費用はすべて自己負担。費用は病院によって異なりますが、およそ15万円~35万円程度です。なお、一度削ってしまった角膜は元に戻すことができません。
・ ICL手術
目の中に小さくて柔らかいコンタクトのような眼内レンズを挿入することで近視や遠視、乱視を矯正する手術です。点眼麻酔を用いるので痛みは少なく、20分程度でできるので、入院の必要はありません。レーシックでは適応不可の強度近視にも対応しており、術後にトラブルが起きてもレンズを取り出せば手術前の状態に戻せます。
ICL手術もレーシック同様保険の適用外なので、費用はすべて自己負担です。費用の目安は、両眼乱視がない場合で、およそ50~70万円。乱視用のレンズを使用する場合は、10万円程度費用が高くなることが多いです。
・網膜硝子体手術
目の中にあるゼリー状の硝子体という部分に関与する病気の治療を目的に行われる手術です。主な病気に、網膜剥離、増殖性糖尿病網膜症、黄斑円孔などがあります。手術方法は、網膜にレーザーを照射する・網膜にガスを注入・眼球に小さな穴を開けて病変部を吸入など、さまざまです。
ほとんどの場合は局所麻酔で行われます。所要時間や費用は手術の方法によって異なりますが、いずれも保険適用です。
■ICL手術は簡単で安全性が高い手術

今、近視の矯正方法として注目を集めているのが、ICL手術です。ここでは、ICL手術のメリット・デメリットを詳しく解説していきましょう。
・ ICL手術のメリット
まずは、ICL手術のメリットから紹介していきます。
安全性が高い
ICL手術は厚生労働省が認めた、安心性と有効性の高い視力矯正手術です。何かあってもレンズを取り出せば、手術前の状態に戻すことができます。また、ICL手術を行えるのは「ICL認定医」のみ。誰でも執刀できるわけではありません。
手術が簡単で正確性が高い
ICL手術には最先端の機械が用いられます。
例えば当院では、「Verion(べリオン)イメージガイドシステム」を導入。検査データをもとに機械が角膜切開の位置や眼内レンズの挿入場所などをモニターに表示。患者様一人ひとりの目の状態に合ったプランで手術を行えます。
機械を導入する以前は、執刀医が目測で切開位置などを判断する必要があったので、高度な技術と経験が必要とされていました。しかし、最新の機械を導入することで、設計図通りの正確な手術が可能になったのです。
つまり、ICL手術はいまや目の手術の中でも簡単な部類に入る、といえるでしょう。
レンズのメンテナンスや交換が不要
ICLに用いられる眼内レンズは、一度挿入すると、基本的に交換の必要はなく、長期間にわたって良好な視力の維持が期待できます。また、レンズはメンテナンスの必要もありません。面倒なケアをしなくても快適な視力を維持できるのは、ICLの最大のメリットのひとつでしょう。
・ ICL手術のデメリット
一方、ICL手術を受ける際に、いくつか注意したい点もあります。ピックアップしてご紹介しましょう。
費用が高額になる
前述したとおり、ICL手術は保険適用外なので、手術はすべて自己負担になります。そのため、費用が高額になるというデメリットが。また、高額療養費制度も対象外です。ただし、医療費控除の対象になるので、確定申告をすれば医療費が控除になる場合があります。
手術を行うまで時間がかかる
ICL手術に使用されるレンズは、一人ひとりオーダーメイドなので、適応するレンズが国内に無い場合、レンズが取り寄せになってしまいます。そのため、手術までに時間がかかってしまう可能性が高いです。
■ICLで快適な視力を手に入れよう
近視矯正の手術と聞くと、難易度が高いのでは?と考える人もいるかもしれません。しかし、機械を導入することによって、比較的簡単な手術へと変化した、といえます。簡単な手術ということは、失敗の可能性が低く、有効性は高い手術というわけです。視力矯正を行いたい方は、ぜひICL手術を検討してみてはいかがでしょうか。