ARTICLE 記事
乱視の人がICLをするメリットって?矯正方法を紹介

視力を矯正する「ICL」という手術は、近視や遠視の人はもちろん、乱視の人にも有効な視力回復法です。そこで、今回は、乱視の人がICLを受けるメリット及び注意点を詳しく解説していきます。
乱視はそのままにしておくと、見えにくいだけでなく、眼精疲労を引き起こす場合も。乱視の矯正方法に悩んでいる…という方は、この記事を参考に、ICLを検討してみてはいかがでしょうか。
■乱視とはどういう状態?

ひとくちに乱視といっても、「正乱視」と「不正乱視」の大きく2種類にわけられます。ここでは、それぞれの乱視について詳しく解説するとともに、乱視の眼はどのような見え方になるのかを紹介しましょう。
・正乱視には3種類ある
「正乱視」とは、水晶体や角膜が上下・左右・斜めのうち、いずれかの方向に傾いてしまい、ラグビーボールのような形になり焦点がうまく結べない状態の乱視です。
正乱視が持つ特徴は、網膜上にポイントを合わせようとした時に、「ある線ははっきり見えるものの、その線に直角に交差している線は見えにくくなる」という点。正乱視は以下の3つの種類に分けられます。
【直乱視】
角膜や水晶体が、ラグビーボールを横向きにしたような、上下が押しつぶされた形になっている乱視です。垂直の線ははっきり見えますが、水平の線がぼやけます。
【倒乱視】
角膜や水晶体の左右が押しつぶされ、縦長の状態になったために起こる乱視です。水平の線はクリアに見えますが、垂直の線がぼやけます。
【斜乱視】
角膜や水晶体が斜めになることで起こる乱視です。斜めの線は見えやすいものの、その線に直角に交わる線が見えにくい状態。
・不正乱視はハードコンタクトレンズで矯正
不正乱視は、角膜の表面に歪みが生じたり、不規則な凸凹ができたりすることが原因で起こる乱視です。片眼で物を見ると、何重にもブレて見えてしまうことも。不正乱視の原因として、外からの衝撃により角膜が傷ついたり、角膜に炎症が起こったりすることがあげられます。また、眼の疾患も原因の1つです。
正乱視の場合は、メガネやソフトコンタクトレンズで矯正できますが、角膜の表面が均一ではない不正乱視は、ハードコンタクトレンズで矯正することがほとんど。硬いコンタクトレンズと角膜の間を満たしている涙で凸凹をカバーします。ハードコンタクトレンズでも見え方が矯正されない場合は、手術を行うケースもあるでしょう。
・乱視の見え方って?
乱視になると、縦の線や横の線が重なり合っている文字が見えづらくなります。物が二重や、ぼやけて見えるのも乱視の大きな特徴です。
また、乱視になると夜間及び薄暗い場所で見えづらくなります。車のヘッドライトや夜景がぼやける・二重に見えるといったほか、月が大きく歪んで見えたり、2つに見えたりすることも少なくありません。
■ICLが乱視の矯正におすすめの理由は?

ICLは乱視の人にも施術が可能です。ここからは、ICLの概要を紹介するとともに、乱視の人がICLの手術を受けるメリットについて解説していきます。
・ICLとはどんな手術?
ICLは、眼の中へソフトコンタクトレンズのような、小さくて柔らかいレンズを入れ、近視や遠視そして乱視の矯正をめざす視力回復法。レーシックとは違い、角膜を削る必要がないので、角膜に歪みがないのです。そのため、クリアでコントラストがはっきりした視界を得ることができます。
また、挿入したレンズはいつでも取り出せます。例えば、術後、白内障になった場合。レンズを取り出して術前の状態に戻すことで、白内障手術が受けられるようになるのです。手術後に近視や遠視、乱視が進んで見えにくくなったとしても、レンズの度数を調整すれば再び良好な視力を得られます。
ICLは、有効性と安全性の高さから、厚生労働省の認可を受けている視力矯正方法です。
・ICLの手術方法
ICLの手術は、両眼20~30分程度と非常に短時間でできるので、入院する必要はありません。日帰り手術が可能です。
手術を行う前に、目薬で瞳孔を拡大させます。続いて点眼麻酔で眼に麻酔を行い、麻酔が効いたらいよいよ手術開始です。まず、角膜の黒目と白目の縁部分を3mm程度切開します。続いて切開した創口から折りたたんだ状態のレンズを挿入。レンズを水晶体と虹彩の間にしっかり固定します。レンズが固定されたらしばらく休憩後、診察で異常がなければ手術は終了です。
・乱視の人がICLを受けるメリット
ここからは、乱視の人がICLを受けるメリットについて紹介します。
裸眼でもよく見えるようになる
ICLの一番のメリットは、裸眼でもよく見えるようになることです。起床時やお風呂の時などでも良好な視界が得られるのは、とても快適です。面倒なお手入れが要らない、というのも嬉しいポイントでしょう。
オシャレが楽しめる
乱視用のカラーコンタクトレンズは、度数やカラーが限られています。そのため、お目当てのレンズが装用できなかった…という人も少なくありません。また、好きな色のレンズを装用するために、近視用のカラコンを無理して装用し、眼が疲れてしまったという人もいるのではないでしょうか。
その点、ICLの手術を受ければ乱視が矯正されるので、度なしのカラコンも装用できます。度なしのファッションレンズはバリエーションも豊富なので、オシャレを楽しめるでしょう。
乱視の戻りが少ない
レーシック手術の場合、術後数年経過すると、新たな近視や乱視が発生するケースがあります。あまりにも近視や乱視の度が強いと、再手術、もしくはコンタクトやメガネによる矯正が必要になることも…。
その点ICLは、近視や乱視の戻りは少ない、といわれています。長期にわたって快適な見え方を維持できますよ。
■乱視の人のICL手術のポイント
乱視の人がICLの手術を受ける場合、いくつか気を付けておきたいポイントやデメリットがあります。それぞれ詳しく解説しましょう。
・術前に正確な乱視度数を計測すること
ICLの術後満足度を高めるために大切なことは、乱視の度数を正確に計測しておくことです。
コンタクトレンズを装用している場合、レンズが角膜の形状に影響を及ぼすため、一定期間レンズ装用を中止しなければなりません。中止期間の目安は以下の通りです。
・ソフトコンタクトレンズ…術前検査の1週間前から
・ハードコンタクトレンズ…術前検査の3週間前から
・乱視用コンタクトレンズ…術前検査の2週間前から
乱視用を使用している方は半月程度、ハードの方は1カ月弱、メガネで過ごさなければならないことを覚えておきましょう。
乱視はその日の体調及び外的要因で、度数が左右されやすいものです。そのため、より正確な乱視度数を測定するためには、最低2回の術前検査が必要になります。
・ICL特有のリスクを理解すること
ICLは安全性の認められた視力矯正法ではありますが、手術である以上、リスクが全くない、というわけではありません。
・眼内炎
・眼圧上昇(緑内障)
・角膜内皮細胞の減少
・レンズサイズ不適合
これらの術後合併症が起こる可能性があります。
また、乱視用の眼内レンズを挿入する場合、まれにレンズが目の中で回転してしまうことも。もしレンズが目の中で回転してしまうと十分な視力が得られない可能性もあるでしょう。そのため、位置修正のために再手術が必要な場合があります。
ICLの眼内レンズは一般的に3カ月ほどで安定するとされていますが、乱視用レンズの場合はレンズ位置の安定性含めて経過観察が非常に重要です。
そしてもう1つ、ICLの手術費用は公的保険適応の対象外なので、全額自己負担となります。医療機関によって、乱視用レンズを用いたICLは通常のICLと費用が異なることも。自身の乱視の状態や度数がICL不適応となる場合もあるので、必ず事前に医師に相談してください。
これらのことを念頭に置いておかないと、満足のいく結果が得られず「ICLの手術に失敗した」「ICLやめた方がいいかも」と思ってしまうかもしれません。
そうならないためにも、乱視用ICL特有のリスクと、術前検査の必要性を認識しておいてください。
■ICLで快適な見え方を手に入れよう
乱視があると、見えにくいだけでなく、眼精疲労の原因になることも。「乱視持ちだけどメガネやコンタクトはわずらわしい」という方は、一度ICLを検討してみてはいかがでしょうか。ICLなら裸眼の状態で良好な見え方を維持できるので、毎日の生活が快適になりますよ。ICLが気になる、という方は一度医療機関に相談してみましょう。