オルソケラトロジーってどんな視力矯正法?大人でも適用できる?

子供の視力矯正方法として知られているオルソケラトロジー。みなさんの中には、子供の頃に、オルソケラトロジーをしたことがある、という方もいるのではないでしょうか。この記事では、オルソケラトロジーはいったいどのようにして視力を矯正するのかを解説するとともに、オルソケラトロジーのメリットや注意点、オルソケラトロジーの適応年齢について紹介していきます。

■オルソケラトロジーとは

オルソケラトロジーは、特殊なコンタクトレンズを寝ている間に装用することで、角膜の形状を矯正し、日中裸眼で過ごせるようにする視力矯正方法です。日本で始まったのは2009年で、子供が装用することで近視の進行を抑えられると期待されています。

近視とは、入ってきた光に対して網膜よりも手前でピントが合ってしまい、遠くのものが見えづらくなる状態。そこで、コンタクトレンズを用いて、寝ている間に角膜の形状を平たんにして、網膜の上でピントが合うように調整し近視の改善を図ります。

コンタクトレンズで平たんになった角膜は、レンズを外しても一定の間形状を保つので、日中は裸眼でも良好な視力を得られるのです。

オルソケラトロジーの治療を受けるためには、事前に適応検査を受けなければなりません。検査の結果次第で、治療の向き・不向きを判断します。

オルソケラトロジーに向いている人、不向きな人は以下のとおりです。

・オルソケラトロジーに向いている人

・近視が軽度~中等度(-1.00~-4.00)の人

・定期的に通院することが可能な人

・眼に病気がない人

・メガネやコンタクトレンズがわずらわしいと感じている人

・レーシックなどの手術に抵抗がある人

・スポーツをしている人

・オルソケラトロジーに向いていない人

・近視や乱視の度数が強い人

・毎朝のレンズのケアがわずらわしい人

・一定の睡眠時間が取れない人

・極度に神経質な人

・医師の指示に従うことができない人

・職業上、常に適正な視力が必要で、仮に視力の変化があった際に業務を中止することができない人

オルソケラトロジーは、保険適用対象外の自由診療なので、費用は全額自費負担となります。費用は医院によって異なりますが、1年ごとに両目で16万~18万円程度が相場です。

もし、2年目以降も継続して治療を行う場合は、追加で費用が必要となります。また、途中でレンズを破損したり紛失したりした場合は、新たにレンズを購入しなければなりません。

■オルソケラトロジーのメリット・デメリット

続いて、オルソケラトロジーのメリットおよび注意点をご紹介しましょう。

・オルソケラトロジーのメリット

手術の必要がない

オルソケラトロジーは、手術を受ける必要がないというメリットがあります。レーシックなどの視力矯正方法は手術を受けなければならないので、なかなか勇気が出ない…という人も多いでしょう。その点、オルソケラトロジーはコンタクトレンズを装用するだけなので、比較的気軽に挑戦してみようと思えるのではないでしょうか。

日中は裸眼で生活できる

前述したとおり、オルソケラトロジーは寝ている間にコンタクトレンズを装用する治療方法です。そのため、起きている間は裸眼で過ごすことができます。コンタクトレンズをすると違和感がある、ドライアイが気になるという人にとっては、非常に魅力的なのではないでしょうか。

また、メガネをかける必要もないので、メガネのわずらわしさから解放されるというメリットもあります。

いつでも元の状態に戻せる

オルソケラトロジーは、コンタクトレンズを装用して一時的に角膜の形状を調整する治療方法です。装用をやめれば角膜は元の状態に戻ります。つまり、メガネやコンタクトレンズを使用したい、元の見え方に戻したいなどの場合はいつでも戻せるのです。

レーシックは角膜を削って視力を矯正する方法なので、元の状態には戻せません。まずは手術以外の方法で近視を矯正したい、と思っている方にはピッタリの方法ではないでしょうか。

子供でも施術できる

オルソケラトロジーは小学生でも施術を受けられます。子供の角膜は大人よりもやわらかいので、より近視の進行を抑制する効果が期待できるでしょう。

近年、スマホやタブレット、パソコンなどの普及で子供の近視は増加傾向にあります。オルソケラトロジーは、そんな子供の近視の広がりを払しょくできる可能性もあるのです。

・オルソケラトロジーのデメリット

定期検診が必要

オルソケラトロジーは度数の調整が必要なので、定期検査が必須です。そのため、なかなか眼科に行く時間が取れない人にとっては面倒に感じてしまうかもしれません。定期検診を受けられない人は、オルソケラトロジーは不向きだと言えるでしょう。

視力が安定するまで時間がかかる

オルソケラトロジーの治療開始直後はなかなか視力が安定せず、日によってはあまりよく見えない…ということがあります。最初のうちは矯正した状態で維持される時間が短いので、夕方になるにつれて見えにくくなることが起こり得るでしょう。治療を続けることで、徐々に視力は安定してきます。

レンズをケアしなければいけない

オルソケラトロジーはコンタクトレンズを装用するので、毎日のレンズケアが必要です。レンズのケアを怠ってしまうと、角膜炎や感染症など眼のトラブルに見舞われるリスクがあります。

特に子供に治療を行う場合は、保護者がしっかりとケアや管理をしてあげなければなりません。

費用が高額になる

前述したとおり、オルソケラトロジーは自由診療なので治療費が高額になります。レーシックやICL(眼内レンズ)の手術と比べると費用は安いですが、1年以上継続したり、レンズを破損・紛失したりした場合は、追加で料金が必要となります。

病院によっては、長期間の治療に合わせて、オルソケラトロジーの費用を定額制にしているところもあるようです。

ハロー・グレア現象が起こることがある

オルソケラトロジーを装用すると、慣れるまでの間、夜間に光がにじんだり、まぶしく感じたりする「ハロー・グレア現象」が起こることがあります。ハロー・グレア現象は慣れてくると症状は改善されますが、当面の間は夜間の車の運転に支障をきたす場合もあるのです。そのような場合は、医師に相談の上、使用を中止したり度数や形状を交換したりする必要があるでしょう。

■オルソケラトロジーは大人にもできる?

オルソケラトロジーは、子供への効果が期待できる方法だと説明しましたが、大人にも適応できます。コンタクトの着脱がきちんとできれば、特に年齢制限を設けていない医院がほとんどです。しかし、あまりにも強い近視の人には効果は期待できません。

また、眠っている間に角膜の形状を調整するので、睡眠時間が短い人には不向きと言えます。さらに、定期検診や毎日のレンズのケアなどのわずらわしさもあるので、忙しい人にはあまりおすすめできないでしょう。

オルソケラトロジーは不向きだけれど、近視の矯正をしたいという方は、ICLがおすすめです。ICLは眼の中に小さなコンタクトレンズを挿入して、遠視や近視、乱視を矯正し、視力回復を目指す矯正方法です。

ICLは手術をした当日から裸眼でも良好な視力が期待できます。また、毎日のケアは必要ありません。一度眼の中に入れたレンズは交換する必要はなく、長期にわたって良好な視力が期待できます。

また、オルソケラトロジーと同様、レンズを外せばいつでも手術前の状態に戻せるというメリットもあるのです。

ICLは、安全性と有効性の高さから、厚生労働省の認可を受けている視力矯正方法です。

オルソケラトロジーが不向きだと感じる方は、ICLを検討してみるのも良いでしょう。

■忙しい人にはICLがおすすめ

寝ている間に特殊なコンタクトレンズを装用して視力を矯正するオルソケラトロジーには、年齢制限がありません。しかし、毎日のケアや定期検診などのわずらわしさはつきものです。一方、ICLなら面倒なケアは必要なく、長期的に良好な視力が期待できます。オルソケラトロジーとICL、自分にはどちらが向いているのかをしっかりと比較検討してみてください。

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